新型コロナのデマに踊る人々に映る深刻な錯乱

「最悪の事態に備えた行動」とは似て非なる

今後、「誤情報」や「デマ」によってもたらされる最悪の事態とは?(撮影:今井康一)

いよいよ新型コロナウイルスによる肺炎が国内で感染拡大し始めた。

加藤勝信厚生労働大臣は2月15日の記者会見で「これまでと状況が異なる」と述べ、国内で流行していることを否定しなかった。すでに一部の専門家らは、日本のどこにいても感染リスクのある「市中感染」へとフェーズが移行しているとの見方を強めている。

ここで重要になるのは「正しい情報」だ。不安と恐怖の感情が先走った恐慌状態では、ソーシャルメディア上の投稿や口コミを真に受けて、普通ではありえないような行動を起こすことがある。

新型コロナウイルスの騒動に関しては国内感染以前から、すでに正確な総数の把握が困難なほど誤情報やデマが飛び交っている。

主なものを類型別に分けると以下のようになる。

① 感染者、感染経路に関する誤情報やデマ
② 致死率、重症度に関する誤情報やデマ
③ 予防法、治療法に関する誤情報やデマ
④ 生物兵器説などの陰謀論

情報への「飢え」を誘発

① 感染者、感染経路に関する誤情報やデマ

1月末、ソーシャルメディア上で「青森にコロナ上陸」との書き込みがあった。2月初めには「徳島にコロナ上陸」という内容の投稿があった。どちらも明らかな誤情報だったことがわかったが、県が冷静な対応を呼びかける事態となった。同種のデマはほかの自治体でも相次いで発生している。

また、特定の地域や地名を挙げて「〜病院で感染者が出た」「〜飲食店で感染者が出た」といった具体的なものも出てきている。ストーリー仕立ての例も少なくない。武漢からチャーター機で帰国した日本人(またはクルーズ船から下船した日本人)が、再検査で感染していることがわかり(あるいは、国内感染者の濃厚接触者が感染者となり)、どこそこの病院に入院しているというものだ。

「まだどこにも発表されていないから教えてあげる」と言って不気味なチェーンメールのように密かに拡散されている。単なる噂なのか嫌がらせなのかはわからないが、とくに接客や飲食など対人サービスに関わるものは、事業の存続そのものが危うくなる可能性がある。

厚生労働省などは2月16日、新たに東京都で5人、愛知県で1人の感染を確認したことを発表したが、この事例に限らず感染経路の解明に時間がかかり不明な点が多いことが、かえって感染者や濃厚接触者に関する情報への「飢え」を誘発し、誰よりも早くリスクを特定したいという心理が強く働く要因になっているようだ。

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