先月、「発熱症状のある武漢からの旅行者が関西国際空港の検疫検査を振り切って逃亡した」とのデマが広がったが、今後も多数の人間を短時間でウイルスや細菌に感染させる「スーパースプレッダー」がどこそこにいる(いた)といった種類のデマが流れる可能性があるだろう。
コロナウイルスの「致死率が15%、感染率が83%」に上るという台湾の新聞記事を翻訳した情報が出回った。「人類史上最凶のウイルス」などと禍々(まがまが)しい文言も追加されていた。新聞記事の画像を貼り付けたTwitterのある投稿では1.2万リツイートもされていた。
すでに多くの識者が解説しているとおり、実際は「武漢の病院に入院した重症患者の致死率」である。母数が「重症患者」なのだ。海外ソースに信憑性を感じて鵜呑みにするネットユーザーにつけ込んだ確信犯といえるだろう。ちなみにWHO(世界保健機関)は、致死率を約2%としている。
SNS上にあふれかえる真偽不明の情報
また、ソーシャルメディアではソース元の表示すらない真偽不明の情報でも大量にシェアされる。
こちらもTwitterだが、箇条書きで「突然変異を起こし空気感染する」「治癒しても再発」「3週間で死亡するか生存するか決まる」「突然、心筋炎を起こして死ぬ」などと書かれた投稿が1.7万リツイートされている。
このような情報も逆に言えば、身近に感染者がおらず、総じて2次情報に頼り切り、疑心暗鬼が増すから支持されるのだろう。国内でも40代の男性が重症と報道されており、ウイルスの毒性が高いのではないかと臆測を呼んでいるが、糖尿病の持病があることなどがわかっている。
新型肺炎の基礎疾患への影響は医者でもない素人が勝手に判断できるものではない。しかし、前述のようにリスクの特定への欲求がかつてないほど高まっていることから、近いうち1つの事例を一般化してパニックが生じる可能性は否定できない。
新型コロナウイルスにはアルコール消毒が効かないという不正確な情報がインフルエンサーを中心に広がった。
厚生労働省は、Twitterで「【ご注意ください!】#新型コロナウイルス 予防にアルコール消毒は効果がないという情報が広がっていますが、これは誤った情報です」と強く否定。「厚生労働省では、咳エチケットや手洗い、うがいなどと並んで、『アルコール消毒』を行っていただくよう、国民の皆さまにお願いしています」とツイートした。
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