「金価格」コロナ禍の乱高下は何を意味するのか 株価は持ち直したが楽観的な期待には疑問

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IMFの予測によると、2020年においてコロナの感染が抑制されれば、2021年におけるGDPはV字回復するとされています。そうした期待を反映していると言えるかもしれません。

日経平均株価の終値も、4月30日には2万0193円となり、3月6日以来の2万円台を回復しました。

ただし、こうした楽観的な期待が正しいものであるかどうかは、大いに疑問です。

金価格が史上最高値、仮想通貨も持ち直し

4月20日には、NY原油先物価格が1バレル=マイナス37ドルと、史上初のマイナスを記録しました。

マイナス圏を脱した後も、原油相場は年初の3分の1程度で推移しています。需要がV字回復で戻るような事態は現時点では想定しにくいためです。

世界のエネルギー企業の株価は不安定のままです。

その半面で、金の価格が上昇しました。そして、1オンス1800ドルという、史上最高値をうかがっています。

金価格の上昇は、上で述べた「マネー」よりも、金のほうが安全と考えられ始めたことを意味します。これは、国家への信頼が揺らいでいることの反映なのでしょうか? まだ判断できない面があります。

なお、ビットコイン価格は3月の大幅な下落から回復しています。これも金と似た動きです。

以上で見たように、資産の性格によってその価格動向に大きな差があります。

概して言えば、リスク資産の価格が下落し、その半面で安全資産の価格が上昇するという、教科書どおりの動きが生じていると言えるでしょう。

野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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