「借金」が増えるほど私たちは豊かになるという逆説 コロナ禍で見えた資本主義の「不都合な真実」と「負債の経済学」

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債務総額の増加は、家計や国家の資産増をもたらす一方で、深刻な格差拡大を伴う(写真:Graphs/PIXTA)
膨張し続ける負債が深刻な格差や金融危機を招く今、この「毒」をどう制御すべきか。このたび刊行されたリチャード・ヴェイグ著『世界は負債で回っている』は、従来の経済学が軽視してきた「民間債務」と「バランスシート」の視点から、マネーが負債から生まれる仕組みを解明している。経済の常識を覆し、破局を回避するための「負債の経済学」を読み解く。

不況下で家計が「過去最高に潤った」ミステリー

2020年、新型コロナウイルスの世界的蔓延という未曾有の渦中にあって、アメリカ政府は3兆ドルを投じて国内および世界経済に救いの手を差し伸べた。

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この公的資金の注入は、アメリカ政府の債務を膨張させた結果、その莫大な資産をほぼ全額減少させるという、建国以来とも言えるほどのバランスシートの悪化をもたらした。

しかし、同じ年に家計資産はどうなったか。驚くべきことに、家計資産は政府の注入額である3兆ドルをはるかに上回る、14兆5000億ドルもの膨張を見せていたのである。

これは史上最大の家計資産増を意味する。国全体で見れば、家計、企業、政府を合わせた資産は1兆ドルの増大であったが、富の膨張分はもっぱら家計へと流れ込んだのだ。

不況下で政府が借金を増やすほど、なぜか家計は潤う。

この一見すると異常な「逆説(パラドクス)」を理解するには、経済学の最も基本的な問いである「マネーとは何か」「負債とは何か」「何が資産の拡充をもたらすのか」という点から解き明かしていく必要がある。

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