「借金」が増えるほど私たちは豊かになるという逆説 コロナ禍で見えた資本主義の「不都合な真実」と「負債の経済学」
アメリカをはじめとする主要先進国では、過去半世紀の間に債務が急膨張してきた事実は広く知られている。
しかし、経済学者や政策立案者が精緻な研究の対象としてきたのは、その多くが「政府の借金」についてであった。
一方で、経済成長とその健全性に不可欠でありながら、分析の頻度が著しく低いのが「民間部門の債務」である。
民間部門の債務には、住宅ローンや商業用不動産ローンといった担保付き債務から、クレジットカード、学費ローン、医療費といった個人の負債まで、あらゆる長期・短期の負債が含まれる。
実のところ、2001年から2021年にかけて世界の債務は3倍の230兆ドルに達したが、そのうち60%以上の145兆ドルは民間部門の債務であり、政府債務は35兆ドルに過ぎない。
政府よりも民間のほうが債務ははるかに膨大なのである。民間債務の実態を知らずして政府債務を研究しようとするのは、循環系の臓器を知らずに心臓の働きだけを研究しようとするようなものだ。
心臓だけの問題ならまだしも、循環系全体に大きな問題があるならば、患者である経済にとって生存すらままならなくなるだろう。
「バランスシート」が暴く資本主義のメカニズム
『世界は負債で回っている』では、公的債務と民間債務を統合して分析し、総債務が膨張する原因と結果を「バランスシート(貸借対照表)」の観点から見ている。
財務会計の原則を国家経済に当てはめる手法は、従来の経済学ではあまり見られないが、経済の根底にある複雑な相互作用を解明する強力な武器となる。


















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