GAFAが突然やたら訴えられるようになった事情 規制に火をつけた元インサイダーの正体

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グーグルに対しては目下、3件の反トラスト法関連の訴訟が起こされている(写真:Laura Morton/The New York Times)

アメリカでは大手テクノロジー企業が反トラスト法(独占禁止法)違反で次々と提訴されるようになっている。この新たな"訴訟ウェーブ"の青写真を用意した反トラスト法研究者ディーナ・スリニバサン(40)は3年前、デジタル広告企業の幹部だった。仕事に退屈し、テック業界がもたらす荒涼とした未来に懸念を深めていた。

「フェイスブックとグーグルだけが勝ち組となり、それ以外の全員が負け組となる。そういう不利な状況になっているのに、問題が広く理解されていないと感じていた」とスリニバサンは振り返る。

そこで彼女は世界最大の広告代理店グループWPPの仕事を辞めて、法学論文を書くことにした。論文を執筆するのは、イェール大学のロースクール(法科大学院)を卒業して以来のことだった。

内部知識から生まれた斬新な理論

学者としての経歴があったわけではない。が、デジタル広告業界の内部知識と、大量の書籍から取り入れた経済学の知見を組み合わせ、斬新な理論を打ち出す論文を書き上げた。フェイスブックは無料のサービスと引き換えに個人情報をどんどんと引き出し、消費者に害を及ぼしている――そんな理論だ。

2020年には別の論文でグーグルの独占を論じた。広告テクノロジーの独占によって、グーグルにはウォール街で違法とされている自己取引やインサイダー取引と同様の取引が可能になっている、という主張である。

スリニバサンの論考は反トラスト法の考え方を組み替えるものであり、発表されたタイミングもドンピシャだった。

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