日本人は迫る「デジタル通貨」の新潮流に疎すぎる 日本銀行と日本政府はいったいどうするのか

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日本銀行ならびに政府が現金を刷っている間に、世界はデジタル通貨への流れが加速しています(写真:freeangle/PIXTA)
日本銀行ならびに政府が現金を刷っている間に、世界ではデジタル通貨への流れが加速している。そんな中とくにデジタル通貨で進んでいるのは中国だ。
中国では、すでにデジタル通貨を試験的に発行しています。それも数百万人という基軸通貨の順位が逆転していく可能性はあるでしょう――『銀行を淘汰する破壊的企業』の著者であり、金融ビジネスとテクノロジーをつなぐベンチャー投資家である山本康正氏は言います。いったいどういうことか、語っていただきました。

4年後以降は、デジタル通貨の世界に

通貨を発行している中央銀行の役割とは何でしょう。それは、物価の安定ならびにその先の経済発展、そして国民を豊かにすることです。

この目的のために経済が不安定になったり、不景気に陥った場合に、中央銀行自らが通貨を発行して、供給量をコントロール。そうして経済の安定を図っていたわけです。このような背景から、フェイスブックのディエム(旧・リブラ)をはじめとするデジタル通貨といった類いの参入に、猛反対していた経緯があります。

しかし現代において、物価を安定させる最適な手段が通貨の発行量を調整することだけなのか、との疑問があります。それだけでいいのでしょうか。ほかにもやるべきことがあります。それは通貨を現金ではなくデジタルにすることこそ、現時点で見えているテクノロジーでは最良の策だからです。

現金はとくにセンサーなどが内蔵されているわけではないため、発行時こそ量は把握できていますが、そこから先、社会で流通するようになったら、どこでどのように使われているのか、どこにどれくらい保有されているのか、データの捕捉や把握ができません。

もちろん中央銀行も把握をするために消費者の物価をモニターし、消費者物価指数を毎月作成していますが、このレポートのデータは人的な調査によるものです。つまり、先述した銀行が行っている与信やローン審査と同じで、効率化されていないデータなのです。

対して通貨をデジタルに置き換えれば、プライバシーには配慮しながらどこでどのような属性の人がいくら使ったのか。○○業界はどれくらいの資産を持っているのか。△△レストラングループは、今月は儲かっている。そのようなことが、アンケートなどの労力を使うことなく、そして正確に把握できるのです。

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