日本人は迫る「デジタル通貨」の新潮流に疎すぎる 日本銀行と日本政府はいったいどうするのか
そして中国政府は、次のようなことも考えていると思います。デジタル通貨事業を手がける際には、アリババのクラウドシステムも併せて組み込んでもらおうと。日本ではあまり知られていませんが、アリババのクラウドサービス「アリババクラウド」は、「アマゾン ウェブ サービス」「マイクロソフト アジュール」「グーグル クラウド プラットフォーム」に次ぎ、世界で4番目のシェアを誇っています。
さらに付け加えれば、アリババクラウドから得たデータを、デジタル通貨以外の業務やミッションに利活用することも、十分考えられたでしょう。実際、自国民14億人超のデータを活用しているからです。
データの活用において、トップダウンで決められる中国はアメリカと比べるとかなり大胆な動きができると私はみています。言い方を変えれば、データは使いたい放題、何でも自由に行える体制だからです。
さらに補足すれば、データを使いたくなったら好きなように、いくらでも法改正できる点も強みです。それもコロナの対策のように、瞬時にできてしまうのです。
現金が消えた国・スウェーデン
現金を使うデメリットはまだあります。北欧など寒い国では、現金をトラックで運ぶだけでもかなりの労力かつコストがかかるからです。そのような背景もあり、エストニアでは現金はほぼ使われていません。同じくスウェーデンでも、キャッシュレス化は日本と比べると圧倒的に進んでいます。
スウェーデンでの現金流通残高の対GDP比は1.7%。日本は約20%、ユーロで約11%、アメリカが約8%ですから、いかに低いかがおわかりいただけるかと思います。実際、スウェーデン人の多くは現金を見る機会がほとんどなく、「現金が消えた国」とも呼ばれているほど、社会全体がキャッシュレス化しています。
スウェーデンの人口は東京と近い約1000万規模ですから、日本やアメリカなどほかの先進国と比べるとキャッシュレス化が進めやすいといった背景はあったと思います。しかしそれでも、それほど小さい規模ではありませんから、今後のデジタル化のトレンドとして、見習うべき点は大いにあるでしょう。
当初は、現金の代わりにSuicaのようなカードが使われていました。おそらくその頃にはまだ、今のようにスマートフォンが爆発的に広がり、社会インフラとなるとは想定していなかったのでしょう。
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