日本人は迫る「デジタル通貨」の新潮流に疎すぎる 日本銀行と日本政府はいったいどうするのか

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私はよくお金を血液に例えます。お金は社会を循環しなければ経済は活性化しません。中央銀行の役割に重ね合わせれば、どこがネックとなり動脈硬化が起きているのか、あるいは、これから起きそうなのか。そのような対処ならびに事前予防が、デジタル通貨であれば的確かつスムーズに行えるのです。

今回の新型コロナで被害を受けた飲食店への各種補償業務は、まさに1つの例です。事業者が慣れていない書類に、決算内容を書き込み申請するような苦労は必要ないからです。 

デジタル通貨が流通していたら、的確かつ瞬時に、困っている事業者に給付金の支給がより早く行えたからです。中には申請が難しかったり手間との理由で、諦めた人も少なくないでしょう。そしてリアル通貨ならではの問題、自己申告による申請だったために、不正や詐欺のような事件も起きました。

このように、通貨を現金からデジタルに置き換えることは、大いにメリットがあるのです。政府や中央銀行もこのことに気づいてきており、フェイスブックのディエムに関して対話するなど、各国でデジタル通貨を発行しようとの動きが活発になっている。これが、デジタル通貨におけるトレンドです。

中国がいち早くデジタル通貨を導入する理由

イギリスと日本では2020年の末から動きが活発になり、日本の中央銀行では2021年中にデジタル通貨の実証実験を行うことを発表しました。おそらくイギリスも同じような動きだと推測しています。

一方で中国では、すでにデジタル通貨を試験的に発行しています。それも数百万人という規模の国民に対して。アリペイや、中国のメッセンジャーアプリ・ウィーチャットの決済サービス、ウィーチャットペイなどのプラットフォームが使われています。

中国がいち早くデジタル通貨を導入したのは、2022年の北京冬季オリンピックに合わせ世界におけるデジタル通貨の先駆者となることで後塵を拝している人民元の価値を高めようとしているからです。とくに、世界でいちばん信頼され使われている米ドルに対する意識はかなり高いでしょう。

現時点での外国為替の決済高のポジションは、米ドル→ユーロ→日本円であり、人民元はそれより少ないという位置づけです。そこで中国はデジタル人民元を広めたいために、しばらくの間はデジタル通貨を20%安く購入できます、といったキャンペーンを打つことが考えられます。

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