知能をほめたグループの実績は20パーセント低下
1998年に、スタンフォード大学心理学教授のキャロル・ドゥエックは研究者仲間とともに、5年生400人に単純な問題を解かせた。そのあとで、それぞれの生徒に点数をつけて、あるものを与えた。ちょっとしたほめ言葉だ。生徒たちの半分は知能をほめられた。「頭が良いのねぇ!」。残りの半分は努力をほめられた。「本当によくがんばったのね!」。
ドゥエックが試そうとしていたのは、わずかに違うところを強調したこれらの単純な言葉が生徒のマインドセット(気がまえ)に違いをもたらすか、そして成功と失敗に対する姿勢をかたちづくることが可能か、また粘り強さと実績において、目に見える影響を与えられるかという点だった。
結果はめざましかった。
最初のテストを終えてから、生徒たちには難易度の高いテストか低いテストを受ける選択肢が与えられた。知能をほめられた生徒たちのまるまる3分の2が簡単な課題を選んだ。むずかしいテストで失敗する可能性を負って「頭が良い」レッテルを失う危険をおかしたくなかったのだ。
だが努力をほめられた生徒たちの90パーセントはむずかしいテストを選んだ。成功ではなく、実りある挑戦の可能性追求に関心があったからだ。この生徒たちは、自分がどれだけがんばれるか示したかったのだ。
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