子供の知能をほめると成績が下がる驚くべき理由 能力は努力で変えられる、挑戦も失敗も機会

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「賢いね!」とほめられた子どもに起こった驚愕の変化とは?(写真:AK/PIXTA)
「自分には語学の才能がないから」「ウチの子は数学向きの頭をしていない」「スポーツにはそもそも向いていない」……などと言って、自分や他人の可能性を諦めてしまった経験はないでしょうか。
イギリスの人気ジャーナリストにして、世界的ベストセラー『失敗の科学』『多様性の科学』の著者マシュー・サイドは、それら「人の能力は生まれつき決まっている」論を真っ向から否定。彼の原点となる著作『才能の科学』において、スポーツ・ビジネス・学問・芸術などあらゆる分野を横断しながら、「人と組織の可能性を解放し、飛躍的に成長させる方法」を科学的に示しています。
「才能がない」と諦める前に知っておきたい、「成長する人と組織の共通法則」とは? 同書より一部抜粋、再構成して5回連載でお届けします。

知能をほめたグループの実績は20パーセント低下

1998年に、スタンフォード大学心理学教授のキャロル・ドゥエックは研究者仲間とともに、5年生400人に単純な問題を解かせた。そのあとで、それぞれの生徒に点数をつけて、あるものを与えた。ちょっとしたほめ言葉だ。生徒たちの半分は知能をほめられた。「頭が良いのねぇ!」。残りの半分は努力をほめられた。「本当によくがんばったのね!」。

ドゥエックが試そうとしていたのは、わずかに違うところを強調したこれらの単純な言葉が生徒のマインドセット(気がまえ)に違いをもたらすか、そして成功と失敗に対する姿勢をかたちづくることが可能か、また粘り強さと実績において、目に見える影響を与えられるかという点だった。

結果はめざましかった。

最初のテストを終えてから、生徒たちには難易度の高いテストか低いテストを受ける選択肢が与えられた。知能をほめられた生徒たちのまるまる3分の2が簡単な課題を選んだ。むずかしいテストで失敗する可能性を負って「頭が良い」レッテルを失う危険をおかしたくなかったのだ。

だが努力をほめられた生徒たちの90パーセントはむずかしいテストを選んだ。成功ではなく、実りある挑戦の可能性追求に関心があったからだ。この生徒たちは、自分がどれだけがんばれるか示したかったのだ。

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