
学習・適応を得るためにもっとも必要とされる条件とは?(写真:Fast&Slow/PIXTA)
「自分には語学の才能がないから」「ウチの子は数学向きの頭をしていない」「スポーツにはそもそも向いていない」……などと言って、自分や他人の可能性を諦めてしまった経験はないでしょうか。
イギリスの人気ジャーナリストにして、世界的ベストセラー『失敗の科学』『多様性の科学』の著者マシュー・サイドは、それら「人の能力は生まれつき決まっている」論を真っ向から否定。彼の原点となる著作『才能の科学』において、スポーツ・ビジネス・学問・芸術などあらゆる分野を横断しながら、「人と組織の可能性を解放し、飛躍的に成長させる方法」を科学的に示しています。
「才能がない」と諦める前に知っておきたい、「成長する人と組織の共通法則」とは? 同書より一部抜粋、再構成して5回連載でお届けします。
ゴルフに学ぶフィードバックの重要性
ほとんどのスポーツにはフィードバックが組みこまれている。まずい打ち方をすれば、テニスならボールがネットを直撃するし、ゴルフならOBになってしまう。だがそれだけだろうか?
練習場で、素人のゴルフプレーヤーがさほど遠くない旗をめがけて打ったと考えてみよう。ロングアイアンでボールを旗の近くへ飛ばそうとするが、彼は旗までどれだけ距離があるかはっきり把握していないし、ボールの軌道に完全に集中していない。ボールがコースをはずれても、それがグリップのせいか、アライメントのせいか、クラブヘッドの速度のせいか、なんだかさっぱりわからない。たしかにフィードバックはあるが、完璧にはほど遠い。
では、プロのゴルフ選手がピンめがけて打つところを想像してみよう。ピンまでの距離がきちんとわかっているので、どんなオーバーヒットもアンダーヒットも、次の一打からすぐに修正できる。もっと重要なことには、ストロークのあらゆる面——スタンス、アライメント、バックスイング——が結果をどう左右するかも観察しているため、どのショットについてもなにがまずかったか特定できる。
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