ニクラウスはこのあざやかな心的イメージを単なる趣味でつくり上げたわけではなかった。そうやってできるかぎり詳細なフィードバックにアクセスできるようにしたのだ。ショットの結果を意図した「カラー映画」と比較することによって、一つひとつのショットについて、もっとも効果的なやり方で学習・適応できたのだ。このたぐいの学習が解き放つ力は絶大で、これはいくら強調しても強調しすぎることはない。
正確なフィードバックを得るために必要な条件
私が卓球英国代表選手だった1992年のことだった。元卓球選手であり、多球練習で私のスピードと動きを変えてくれた陳新華コーチが、選手生命を変える革新的な提案をもう一つしてくれた。フォアハンドカットのやり方を変えろというのだ。
当時、私のストロークは変幻自在で、ときには高く弧を描き、ときには卓球台の下あたりくらいの高さから少しばかりサイドスピンをかけた。ショットをさまざまに変えられるのは誇りだったし、それも創造力のうちだと考えていた。
陳コーチの見解は違っており、どんなショットに対しても、あらゆる点でまったく同じストロークを身につけろと指導した。2カ月間その打ち方——大きく弧を(右耳から足首まで)描いて、膝の角度はぴったり80度でまったく同じ高さでネットをとらえる——をくり返し、それが容赦なく身に刻まれて、狂いなしに同じ打ち方ができるようになった。
私がフォアハンドカットを完璧に再現できるようになると、陳コーチはやっと、新たなスピンや速度を盛りこんで変化をつけることを許可してくれた。だがおわかりだろうか? フォアハンドカットのバリエーション一つひとつについても——どれも第三者の目には、創造性に富み、自然に生まれたように見えるだろう——やはり何時間もの練習をつぎこんで磨きをかけさせられたのだ。それを完璧に再現して、ノイズのないフィードバックが得られるように。
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