エースばかりを集めた夢のチームに失敗が多い訳 組織力を決めるのは他者への心理的安全性にある
どこの組織にもエース級とされる人材がいる。そうしたエース級の人材を集めて「ドリームチーム」が結成されることがある。しかし、そうした「ドリームチーム」は期待された成果をあげられないことが多い。そんな実例を、身近で経験したことがあるのではないだろうか。この背景は、どのように考察することができるだろう。
あなたが、ニワトリを飼育する農家のコンサルティングをしていたとする。そこで「よりたくさんのタマゴを生産するには、どうしたらよいですか?」とアドバイスを求められたとしよう。
過去にどれだけの数のタマゴを産んだのか、データを見ればわかるようになっている。当然のことながら、ニワトリによって、とてもたくさんのタマゴを産むニワトリもいれば、あまりタマゴを産まないニワトリもいる。
たくさん産むニワトリだけを集めると生産性低下
そんなデータを見ながら、もし、あなたが「タマゴをたくさん産む、生産性の高いニワトリ(=スーパー・チキン)だけを個別に選別し、その子孫の割合を増やしていけば良い」と考えたなら、それは最悪の間違いとなる。動物科学者ウィリアム・ミュアは、実際にこの実験を行った。そして、スーパー・チキンだけで構成されたケージでは、激しい喧嘩が発生し(喧嘩でエネルギーを消費してしまうため)タマゴの生産性が大幅に低下することを突き止めたのである。
個体レベルで高い生産性を示すスーパー・チキンは、要するに、利己的で攻撃性が高いニワトリだ。こうしたニワトリは、他のニワトリを平然と攻撃し、そこから資源を搾取する。確かに、こうした資源の搾取によって、個体レベルでの生産性は高められる。しかし、組織を構成するメンバーが、そんなスーパー・チキンばかりになると、生産性は個体レベルでも下がってしまうのである。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら