有名企業で不祥事が続く「根本原因」は、ただ1つだ 「組織マネジメントの素人」が経営した結果…?

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相次ぐ大企業による不祥事の例を見て、「うちの会社ではこんなことは起きない」と思う人はどれほどいるだろうか。

どんな組織であっても、同じようなことが起こりうる。いや、すでにあなたの会社でも起きているのかもしれない。

たんなる人の集積が組織ではない。そこには「権力」と「権限」が存在し、「支配する側」と「支配される側」が存在する。「複雑な人間関係」が存在し、「衝突」も起きれば、「忖度(そんたく)」も生まれる。

組織は適切にマネジメントされれば、とてつもなく大きな力を発揮し、個のレベルでは実現できないような大きな仕事を達成することができる。

一方、組織は適切にマネジメントできなければ、劣化し、不正や不祥事を招いてしまう組織には「魔物」が潜んでいることを私たちは自覚しなければならない。

(出所:『「カルチャー」を経営のど真ん中に据える』)

「最初から健全な組織はない」がアメリカ企業の大前提

組織を適切にマネジメントすることの重要性を認識しているアメリカでは、組織論の研究が進んでいる。古くから多くの実証研究が行われ、経営リーダーやマネージャーの多くは、ビジネススクールなどで組織マネジメントについての基本を学んでいる

私がアメリカのビジネススクールに留学したとき、いちばん驚いたのは「組織行動論」「組織心理学」という科目に出会ったことである。アメリカ人学生やほかの留学生たちは、組織論に大きな関心を持っていた。「組織マネジメントをしっかり学ばなければ、いい経営者やマネージャーにはなれない」という意識が強かったのだと思う。

彼らにとっては「最初から健全な組織など存在しない」ということが大前提である。

人種や出生地、宗教、学歴など多様でバラバラな人たちをどのようにまとめ上げ、同じ方向を向かせるかが経営の大テーマであり、マネージャーの最も重要な仕事なのである。

だから、グーグル(持ち株会社はアルファベット)のような優良企業でも有名大学と組織マネジメントについての共同研究を行ったり、社員の意識調査などにも本腰を入れて取り組んだりしているのだ。

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