『現場力を鍛える』『見える化』など数多くの著作があり、経営コンサルタントとして100社を超える経営に関与してきた遠藤功氏は、「私たちがいまコントロールできることは、経営者と社員が一丸となり、健全で良質なカルチャーを手に入れることである」という。
その遠藤氏が「カルチャー」を全面に取り上げ「組織を変える」「組織を劇的に強くする」方法を詳しく解説した新著『「カルチャー」を経営のど真ん中に据える 「現場からの風土改革」で組織を再生させる処方箋』が発売された。
本記事では、その遠藤氏が、「不祥事はどこの組織でも起こりうる」と指摘できるほど、日本の組織が共通して抱えている問題点について解説する。
6年間で40件!日本の大企業の深刻な品質不正
私にとっては信じがたい事態が起きた。大学を卒業して約10年間お世話になった三菱電機で、相次ぐ品質不正事案が発覚したのだ。
2021年6月に長崎製作所で、鉄道車両用の空調設備などについての検査不正が明らかになったのを皮切りに、さまざまな不正の事実が明るみに出た。なかには20年、30年続いていた不正もあり、「不正の連鎖」は常態化していた。
これが三菱電機だけの話であれば、一企業による特殊な問題と片付けることもできる。しかし厄介なのは、同様の問題が日本を代表するモノづくり企業で頻発していることである。
日立グループで多発している品質不正事案、日野自動車によるエンジンの排ガスや燃費の性能偽装問題などが相次いで報じられた。『日経ものづくり』(2021年7月6日)の調査によると、2016年から2021年の6年間に発生した日本の大企業における品質問題は、深刻なものだけでも40を超えている。
日本の劣化を象徴するような事象は、モノづくり企業だけに限った話ではない。みずほ銀行ではシステム障害が多発しており、東京電力ホールディングスでは柏崎刈羽原発の中央制御室へ社員による不正入室が発覚した。より深刻なのが、郵便局長による不祥事が後を絶たない日本郵便である。
これらすべてを同列に扱うことはできないが、しかし、重要なことは「組織はここまで腐る」という事実を戒めとして認識することだ。
「組織はつねに健全で、社員たちは真面目に働き、不正など絶対に起こさない」という大前提そのものが崩れ去ろうとしている。
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