「そんなことを思ううちに『奨学金って呼ばれてるけど、結局のところ(貸与型は)借金だよな。名称がおかしいよな』との思いを深めるようになりました。と同時に、そもそもの大学の学費の高さに疑問を覚えるようになった。実際、台湾の友達の家でみんなで寝転がってテレビを見ている時に、ドイツ人の友人が……」
ここで冒頭の発言につながるわけだが、ドイツの公立大学は、たしかに国籍にかかわらず、授業料が原則的に無料である。設備維持費として、年間数万円がかかるのみで、さらに、ほとんどの州で留学生も授業料が無料だ。
また、吉田さんの留学先の台湾の国公立大学は、当時は今よりも円高だったこともあり、授業料が年間15~20万円程度だったという。(現在は当時と制度が変わり、外国人留学生の授業料は上がっている)
なお、国立国会図書館がまとめた「諸外国の大学授業料と奨学金【第2版】」では、日本はOECD36カ国(当時)の中で、「高授業料・低補助国」に分類されている。この資料では、諸外国の国公立大学等の授業料、および、国の奨学金制度の概要がわかりやすくまとめられているので、悲しい気持ちになりたい人は見てみてほしい。
「結婚や子育てという気分にはなれない」
「大学入学当初は転学や仮面浪人を考えていましたが、留学できたこともあって、結果的に大学卒業したことはよかったと思います。多少なりとも横のつながりはありますしね。それでも、奨学金を490万円借りてまでも進学する意味があったのかは、まだ答えが出てません。
そもそも、高校生の時に『数百万円のお金を返すことになる』と言われても、私のようにイメージが湧かない人が大半ではないかとも思うんです。根本的には教育費が高いという問題がありますが、そんなリスクを背負ってでも、大学に行く必要があるのかということを考えさせる機会は高校生の時からあってほしいですね」
学歴コンプレックスや勉強への意識が高いと思いきや、大学進学についてはシビアな考えの吉田さん。聞けば、子どものときに見た『結婚できない男』(フジテレビ系)が彼の人格形成に強い影響を与えたという。
「ミレニアム世代というか、さとり世代というか、ゆとり世代というか、ドラマに影響を受けたこともあってなのか……。
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