「奨学金490万円」29歳男性が感じた海外との格差 ドイツ人留学生の「俺の国は学費タダ」に衝撃

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当時、中国語は全然喋れなかったのですが、アジアの大学でも留学生の講義はどこも英語ですし、そこにはヨーロッパからの留学生もいるので、基本的にコミュニケーションは英語になるんですよ。

留学が決まってから学び始めたので、結局、今でも中国語はちゃんとは話せません。ただ、留学先では前述のように基本的には英語での講義だったので、現地の学生たちを一部交えて留学生向けのコースを受けていました」

ヨーロッパの留学生たちと国際交流の日々

こうして始まった、台湾での留学生活。どのような暮らしぶりだったのだろうか?

「住んでいたのは大学の寮だったのですが、そこはもう刑務所のようで(笑)。家賃は月々1万円程度でしたが、広くない部屋に男4人で住んでいました。食事も出ません。でも、大学の周りに夜市で屋台がたくさん出ているので、そこで1食300〜400円のご飯を食べていました」

居住空間はともかく、勉強している分には楽しそうな環境である。食事も毎日お祭り気分で飽きなさそうだが、吉田さんはもともと英語を勉強するために留学している。

「そもそも『英語を喋れるようになりたいけど、海外に行ければどこでもいいや』みたいな気持ちもあったので、勉強というより、主たる目的は国際交流になりました。だから、現地の学生たちというよりも、ヨーロッパからの留学生たちとつるんでいました。食事をしたり、クラブに行ったり。

大学は台中の中心部にあったので、そこからみんなタクシーで乗り合わせて、居酒屋感覚でクラブに通っていました。クラブといっても、オールナイトで2000円もかからないですしね」

なんとも、ギラついた留学生活だが、その間も毎月12万円の奨学金が口座に振り込まれていたはず。何に使っていたのだろうか?

「もともと奨学金は学費にかかる金額よりも多めに借りていたため、浮いた分は現地での生活費や娯楽費に充てていました。留学先の台湾でも奨学金は入ってきましたが、さすがに全部使わないように自制していましたね。ちなみに、留学制度のおかげで留学先の大学の学費はかかりませんでした」

こうして、大学の制度をうまく活用して、格安で留学生活を送っていた吉田さんも4年生の6月に帰国。就活時期にはギリギリ間に合わなかったが、大学は半年遅れて9月に卒業した。

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