激戦地近い「ウクライナ南東部」写真家が見た光景 ロシア軍の砲撃を受けた原発の今は

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3月4日にロシア軍の砲撃を受けたザポリージャ原発。左端に6機の原子炉建屋と排気塔が見える。ドニプロ川の対岸より(撮影 4月15日)
2月24日に始まったロシア軍のウクライナへの侵攻。ロシア軍はキーウ(キエフ)から撤退し、戦力を南東部のドンバス地域などに集結させている。
南東部には、ロシア軍の占領地域が近く激戦地となっているマリウポリがあるほか、ロシア軍の砲撃を受けたザポリージャ原発がある。
開戦直後の3月に続いて再びウクライナに入った日本人写真家が現地の状況をレポートする。
(この連載の1回目記事2回目記事3回目記事
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「比較的安全」と言われた町に落ちたミサイル

開戦47日目、4月11日。ポーランドから国境を越え、ウクライナ西部の都市リビウに着いた。

筆者が先月ウクライナに入ったときは、国外へ逃げる人でどこもごった返していた。ところが今回、ウクライナ行きのバスが出るワルシャワのバスステーションには、避難してきたばかりの人とウクライナに戻る人が混在していた。

避難先のポーランドから西部の街リビウに戻ったポリーナ。1週間後、このバス停から数百メートルのところに砲撃があり、7人が亡くなった(撮影 4月11日)

車内で出会ったのはストリートファッションが好きだというポリーナ(28)。5年間暮らしたキーウを離れ、ポーランドの北にある港街、グダニスクにひと月避難していた。キーウがロシア軍に包囲され、勤めていた洋服店が休業したためだった。「故郷はどこ?」と尋ねた筆者にポリーナはこう答えた。

「3日前に駅前が攻撃されたでしょ。あの駅があるところ、クラマトルツクよ」

ウクライナ東部ドネツク州クラマトルスク。ドンバス地域を占領しようとするロシア軍と、それを押し返そうとするウクライナ軍がせめぎあっている街だ。4月8日、避難列車に乗り込もうと集まっていた4千人近くの市民の前にロシア軍のミサイルが飛び込んできた。現場は一瞬にして血の海と化し、50人が犠牲になった。多くが女性や子どもだった。

ポリーナが帰国を決めたのは、比較的安全な西部の都市リビウで商店が営業を再開し始めたからだった。しばらく、リビウ近郊にいる友人のところへ身を寄せるという。

「キーウ周辺は解放されたらしいけど、いつロシアのミサイルが飛んでくるかわからない。だから、いま戻る気にはなれない」

この日の午後11時13分と翌日の午前0時7分、リビウの夜空に野太い空襲警報が響いた。1週間後の4月18日、ポリーナと別れたバス停から数百メートルのところにロシア軍のミサイルが落ちた。亡くなった7人は全員一般市民。けがを負った11人のなかには子どもの避難者もいた。

現場は避難者が集まるリビウ駅や救護テントの近くだ。リビウ当局は、ロシア軍が避難者を狙ったのではないかと警戒を呼びかけた。

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