中国の国有鉱業大手の紫金鉱業は3月23日、アフリカのコンゴ民主共和国にある「カモア・カクラ銅山」の第2期プロジェクトが稼働したと発表した。カモア・カクラは高品位の銅鉱石を産出するアフリカ最大級の銅山であり、紫金鉱業とカナダ資源大手のアイバンホー・マインズ、中国の国有複合企業大手の中国中信集団(CITIC)が共同で開発している。
今回稼働したのは、現地に建設された2番目の選鉱プラントだ。当初計画より4カ月前倒しで完成し、3月21日に銅精鉱(訳注:銅鉱石を粉砕・選別して品位を高めたもの)の生産を開始した。第2プラントの銅鉱石の処理能力は年間380万トン、そこから20万トンの銅金属が精錬される予定だ。
カモア・カクラ銅山は、コンゴ民主共和国の南部から隣国のザンビアにまたがる「カッパーベルト」と呼ばれる鉱山集中地域に位置し、銅金属の資源量は4369万トン超と見込まれている。それだけで、中国国内で確認されている銅金属の総資源量の37%に相当する規模だ。
2021年5月に稼働した第1プラントに続く第2プラントの立ち上げは、銅の国際相場高騰という絶好のタイミングに恵まれた。ロンドン金属取引所(LME)の銅の3カ月先物は3月22日時点で1トン当たり1万300ドル(約123万6000円)と、2年前の2倍以上の水準にある。
「鉱山開発投資の7割が中国から」
財新記者が入手した情報によれば、カモア・カクラ銅山の第2期プロジェクトの(銅精鉱の)生産コストは、鉱石の採掘から選鉱、輸送、販売までを含めたトータルで1トン当たり平均2500ドル(約30万円)程度と見積もられている。現在の銅相場が続くとすれば、紫金鉱業など3社は潤沢な利益を享受できそうだ。
とはいえ不安材料もある。カモア・カクラ銅山がある上カタンガ州の周辺地域は治安が悪く、武装集団が(鉱山開発に携わる)中国人を襲撃・誘拐する事件が過去に何度も発生している。当然ながら、カモア・カクラ銅山も標的にされるリスクと無縁ではいられない。
政情が不安定なアフリカ中央部の鉱山開発からは、近年、西側企業の撤退が相次いでいる。このことを、中国企業は現地への積極進出のチャンスととらえてきた。
「わが国の鉱山開発に対する投資の7割が中国からだ」。2020年11月に開催された鉱山業界のフォーラムで、コンゴ民主共和国の鉱業協会の副会長を務めるジョン・カンヨニ氏はそう発言した。
(財新記者:蘆羽桐)
※原文の配信は3月23日
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