「生命誌研究館」とは何をするところか
中村:本日は生命誌研究館にいらしていただいて、ありがとうございます。
山折:前からご案内いただいていましたが、今日初めて参りましてびっくりいたしました。人類発生以来の歴史の中で、生命というものをどう捉えるかという大変な研究をなさっている。なぜ生命誌研究館を始められたのですか。
中村:それをお話しすると長くなります(笑)。今、生命科学は非常に重要な分野になっていますが、始まったのは1970年代。米国がアポロ計画を成功させて、次の目標を「癌との闘い」とし、医学と生物学を合わせた生命科学にしました。
生物学は、人間以外の生き物が対象です。人間を考えることはありませんでした。でも医学となると、人間を研究することになります。「人間を考える」ことになったのです。
同じ年に、江上不二夫先生が、日本で生命科学研究所をお始めになり、私はそこで育ちました。江上先生の生命科学は独自で、植物学、動物学などと分かれていた生物学をDNAを基本において生命とは何かを問うものに変えたのです。ここにも人間が入ります。また当時の公害も関係します。
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