松崎:実は、浦安は日本で一番若い。高齢化率が日本で一番低いのです。65歳以上の割合が14%を超えると、高齢社会になります。国連がそうやって定め、厚生労働省もそれにのっとってそのように定義しているんですね。浦安は去年まで14%でした。
同じ千葉県でも30%、35%という自治体はざらにあるんですが、うちは去年まで14%で、今でも15.26%なんです。団塊世代が多いのでこれから一気に進むなとは思っているんですが、通勤の利便性が高いので、若い人たちの流入も多い。人口も増えています。
子供人口は増えているのに、廃校になる小学校も
松崎:でも子どもたちは急減している。来年3月末で入船北小学校を廃校にするんです。入船北小学校は、新浦安駅から歩いて10分もかからないところにある小学校で、一時期は1300人いた。もうプレハブ校舎がなければ対応できないほどの大きな小学校だった。それが今では151人です。数年前から、6年間を通してクラス替えができなくなってしまった。都市部ではクラス替えができないと、人間関係でトラブルがあったときに軌道修正が難しい。ですからクラス替えをできるような環境にすることが大事なんです。
坂之上:子どもを増やしていかなければ、これからも同じ問題が続いてしまいますね。
松崎:そうなんです。ただ、うちの場合にはっきりしているのは幼稚園、保育園の先生方は「子どもたちは多いですよ」と。「結婚すれば、3~5人が今主流ですよ」って言う。要は結婚していない男女が多すぎることが問題なんです。だからうちはフィンランドのネウボラ(妊娠期から就学前にかけての子ども家族を対象とする支援制度)のような仕組みをやろうとしています。浦安市は妊娠からではなく、その前の出会いからにしていますが、このことは後でお話しします。
30億円を少子化対策基金に
松崎:浦安は財政的に豊かなうえに、若い。だったら日本版、浦安版のネウボラを発信してほしい、という要請が内閣府と厚生労働省からも来ており、これは私の危機感とぴったり合ったんですね。だったら、なんでもやろうといって、3月議会の予算編成のときに、浦安市には財政調整基金という預貯金も十分ありますので、その中から30億円を少子化対策基金とした。
坂之上:それは思い切ったファンドですね。
松崎:この30億円の基金を活用して、さまざまな支援を行っていくのですが、そのために全部で400人以上の人たちから話を聞きました。
坂之上:400人ですか。ずいぶんと多いですね。
松崎:子育て中のお母さんだけでなく、お父さんたちや保育園、幼稚園の先生たちや園長たちからもじっくりと話を聞いてきたんですけど、究極は2つだということがわかったんです。
坂之上:え、なんでしょう?
松崎:浦安の場合には子育て世代の95%が核家族なので、子育てでのストレスの問題がある。要はお母さんが自分の時間も持てない。それと、もうひとつの問題は将来に渡る教育費の負担です。
坂之上:はい、確かに不安です。
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