(1)「『おとなの基礎英語』松本先生は英語が苦手?」はこちら。
(2)「宮沢賢治もディベートをしていた!?」はこちら。
英会話にはシナリオもトピックもない
松本:先ほど、まず論証文を読むべきという話をしましたが、私が代表著者を務めている中学の検定教科書があります。『One World』(教育出版)というシリーズで、この教科書では中3の最後でディベートをします。
安河内:『One World』、知っています。有名な教科書じゃないですか!
松本:難しいと敬遠されがちで、採用数が少ないのです(笑)。安河内先生、PRしてくださいよ。最後をディベートにしているのは、私なりのこだわりがあるからです。「中学生にはディスカッションは難しすぎるが、ディベートならできる」と考えているんですよ。
世の中での誤解が大きい事例のひとつに挙げられるのが、「ディベートはディスカッションよりも難しい」という認識ですね。でもホントは逆で、ディベートはディスカッションよりも易しいのです。さらにディベートは、英会話よりも簡単です。
安河内:おお、ディベートはディスカッションや英会話よりも楽なのですね?
松本:そうです。
安河内:あれ、ちょっと待ってください。3つの中ではディベートがいちばん簡単で楽だと?
松本:ええ、そうです。
安河内:どうしてですか?
松本:まず英会話というのは、シナリオがないですよね。しかも、トピックも決まっていません。相手が何を考えているかもわからないし、何を言い出すかも想像がつかない。そんな状況で話をしていかなければならない。15分、見知らぬ人と会話するとなると、日本語でもなかなか対応が難しい。会話が途切れて、気まずい沈黙が流れることもある。けっこうなストレスにもなりえます。
ましてやディスカッションなんて話す相手が5人も6人もいます。トピックの設定があいまいなので、話はあちこち飛ぶこともありますし、中には図々しくしゃべり続ける人もいたりして、話に割り込むすきさえなかったりもします。だから、ちゃんと仕切ってくれる人が必要です。
安河内:あ、そうか。でもディベートなら、まずトピックが絞り込まれていますものね。
松本:そうなのです。論題が明示されているので、相手が何を話すかも予測がつきやすい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら