安河内:そして、賛成、反対の立場も明確に分かれているから、自分と相手の立場もはっきりしていて、何を話すかもはっきりしますね。
松本:そうです。しかも、賛成または反対の理由がいくつあるのかということも、はっきりとわかったうえで内容を吟味できます。
また、進め方も決まっているので、ディスカッションのように話を臨機応変にリードするチェアパーソンのような存在がいなくても、話はどんどん進んでいきます。
発言する時間や役割分担も決まっていますから、ひとりが発言する時間が極端に長くなることもないので、シャイな人であっても何とか乗り切れます。
そして授業では、15分かかるディベートを2回行うというように計画も立てやすいのです。
安河内:ああ、発言時間は平等ですね。元気な子、英語が得意な子だけの独壇場にならずに済むのですね。
松本:そう、私みたいなおとなしい者でも、ちゃんと発言できるのです。
安河内:あれ、松本先生はおとなしいのですか?
松本:有識者会議に一緒に出ていたからわかるでしょう? 最後にモジモジしながら発言するっていうのが私のスタイル(笑)。
安河内:ああ、でも有識者会議で松本先生がすごいなと思うのは、サッカーで言うと、ずっとボールを持っているけどゴールしないプレーヤーの対極にいて、時間は少ないかもしれないけど要所でボールに絡んできて、必ずゴールを決めるところです。残り時間10分、5分でスッと現れてゴールを決めるのは、ディベートで鍛えたスキルだったんですね!
松本:いやいや、とんでもないです。
安河内:今日は一言もしゃべらないのかなと思ったら最後に一言、二言の発言で見事に決める姿を何度も見ましたから。すごいディベーターですね。
ディベートは中高生向けで、単語も覚えやすい!?
安河内:それにしても、ディベートが思いのほか簡単という話はすごく面白いですし、説得力がありました。私が参加するディベートの会でも、モジモジしたシャイな大学生が参加したりするんですけれど、順番が回ってくると、観念してちゃんとしゃべっています。おとなしい人こそ、ディベートから始めるといいのかもしれない。
松本:ええ。ディベートは自分をさらけ出さなくていいところも、中学生、高校生向きです。ディスカッションでは、What do you think?(あなたはどう思うか?)と聞かれるでしょ。自分の考えをみんなの前で言うのは、多感なティーンにはかなりハードルが高いのです。
安河内:一方、ディベートなら、賛成反対を単純に割り振られるだけだから、自分の意見を述べずに済むわけですね?
松本:そのとおりです。「しょうがないなあ、言ってやるぜ~」といったスタンスでもできてしまうのです。
安河内:でも、論理的にしゃべる練習にはなっているから、のちのち自分の意見を述べる訓練にはちゃんとなっているんだ!
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