松本:そうです! それに、ディベートだと形容詞や副詞をさほど使わなくても済むのです。哲学的な問題についてのディスカッションとなると、ものすごく難しい形容詞が多く必要になりますけど。
安河内:つまり、very much と言ったら、How much? と聞かれるってことですね。最後は数値とか根拠を示さなければいけないから、主観的な表現があまりいらないんですね、ディベートには。
松本:そうです。それに、難しい単語があったとしても、トピックに特有のものであっても、繰り返し読んだり聞いたり話しているうちに、高校生でも覚えちゃうのです。たとえばnuclear power plantという言葉を最初は知らなかったとしても、何度も出てくればわかるようになります。
これが一般の高校の検定教科書だと、レッスンごとにトピックがまったく違うんですね。人権をやったら次は環境問題、そしてその次は松井秀喜さんが出てきたりとか……。となると、単語が定着しないままに次のレッスンに移ってしまうので、丸暗記しないかぎりテスト対策ができない。ところがディベートの場合は、難しい単語でも何度も出てきますから、定着して覚えていきやすくなるのです。
安河内:松本先生がお書きになった『One World』のディベートのトピックは何ですか?
松本:「弁当か給食か?」です。
安河内:ああ、単純明快でいいですね。今度、スピーキングのセミナーをやるときには、私も「弁当か給食か?」でディベートにもチャレンジしてみたいと思います!
日本語でディベートする意義はあるかないか?
安河内:もうひとつ、よくある批判に対して意見を聞かせてください。「日本語をまだちゃんと操れていないティーンに、英語でディベートさせてどうなるんだ?」という声についてです。
松本:効率性を考えれば、日本語でプレゼンやディベートをやった後に英語でやったほうがいいとは思います。
安河内:それは私も同感です。
松本:まず日本語でやってみると、何を求められているのかを生徒としても明確に把握できますよね。日本語でプレゼン、ディベートをしていれば、「これを英語でやればいいのか」と一発でわかりますから。それに、英語でやるときに大部分のスキルをそのままトランスファーできます。ただ、日本語をやってからでないとダメ、というわけではありません。
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