宮沢賢治もディベートをしていた!? 日本の教育を変えるキーマン 松本 茂(2)

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 こんにちは、安河内哲也です。英語教育の専門家にお話を伺っている本連載。NHKテレビ「おとなの基礎英語」の講師役としてもおなじみの、立教大学経営学部教授、松本茂さんとの対談第2回です。
(1)「『おとなの基礎英語』松本先生は英語が苦手?」はこちら。
アメリカでディベートコーチをされていた松本茂先生にお話を伺います!

安河内:アメリカはどちらに?

松本:州立のマサチューセッツ大学(UMass)アマスト校です。「Boys, be ambitious!」のクラーク先生が初代学長を務めた大学です。

安河内:大学院生時代もディベートをたくさんされたのですか?

松本 茂(まつもと・しげる)
立教大学経営学部国際経営学科教授、立教大学グローバル教育センター長
1955年、東京都出身。マサチューセッツ大学ディベート・コーチ、神田外語大学助教授、東海大学教授などを経て、2006年より現職。専門はコミュニケーション教育学。NHKの英語番組の講師としてもおなじみで、これまでにテレビ10年、ラジオ4年担当(現在、Eテレでは「おとなの基礎英語」シーズン3を来年3月末まで再放送中)。また、日本ディベート協会の専務理事も務めるなど、日本語ならびに英語によるディベート活動の普及にも力を注いでいる。著書に『英語ディベート 理論と実践』(玉川大学出版部)、『英会話が上手になる英文法』(NHK出版)、『速聴速読・英単語』『会話がつづく!英語トピックスピーキング』(Z会)など。 公式ツイッター

松本:大会には大学院生は出場できないのです。ただ、その当時のUMassのディベートチームにはパブリックディベートのプログラムもあり、コミュニティの集会や高校などに出向いて模擬ディベートをしました。その後は、主に初心者の学生を大会に出場できるように指導するディベートコーチとして大学に雇われました。

安河内:ディベートするだけじゃなくて、教える側にも回ったのですね。

松本:大会でのジャッジもかなりの数、こなしました。

安河内:ディベートの対戦相手や教える相手は、もちろんほとんどがアメリカ人だったんですよね?

松本:そうです。全員、アメリカ人でした。

安河内:アメリカ人大学生が英語でディベートしているのを松本先生がジャッジされていたと?

松本:はい。その当時、日本には「日本人は日本語でもディベートができない」なんて言う人もけっこういました。でもアメリカに行ってみたら、訓練を受けていなければ、アメリカ人であってもディベートがうまくできないんだと実感しました。英語のレベルだけみればこちらのほうがやや低くても、ディベートの仕方についてであれば、相手がアメリカ人であっても指導できました。

安河内:ディベートと聞くと議論好きで、能弁、アグレッシブといったイメージがありますが、松本先生は全然違いますよね?

松本:そう、どちらかというとシャイで、普段は無口なほうです。

安河内:必ずしも攻撃的であったりとか、まくしたてたりするのがディベートの特徴ではないということでしょうか?

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