死ぬな、生きていれば何とかなる! 幾多のハンデ、異色ファンマネの壮絶半世紀

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──それから、シティバンクに。

1995年に障害者雇用枠で入った。3年後にシティバンクはトラベラーズの傘下に入る。東京の幹部は高学歴だったが、トラベラーズの幹部には頭が上がらない。そこで辞めた米国系の人が結構いる。その頃、整理候補のファンドを買うケースが目立った。パイロットグループの母体もその整理されたファンド。辞めた連中と一緒に始めたものだ。

──シティバンクを辞めたのは2011年です。

オペレーション管理をコントラクト(契約社員)でどうかと勧められて残っていた。実務は税務調査の手伝いとかで、しばしば法令違反をやる会社だから、何かのときに度胸の据わった人間が欲しかったのかもしれない。結局、白血病の再発で半年にわたって38度の熱が続き辞めた。

出資したファンドではもっぱらバリュー(割安株)投資をしている。メインの社員はニューヨークのアパートの1室に6人いて、大変なのはSEC(米国証券取引委員会)に出す書類づくり。65インチの画面をいくつも見ているが、本当はそんなことをしなくてもいい。一般の人がやっているのと同じ逆張りオンリー。買って20%上がったら売るというポートフォリオを組んでしまえば、別に問題はない。09年まではよくそのニューヨークのオフィスに行ったが、白血病で入院して以降行っていない。そこそこに儲かり、ワクチン療法で白血病ウイルスも消えたので、しばらくぶりに行ってもいいが。

海外の障害者、母子家庭を支援

──今後の夢は。

9月7日に亡くなられた競馬の川島正行調教師によくしていただいた。彼は賞金額世界最高のドバイワールドカップに地方馬のアジュディミツオーを出場させている。川島厩舎から自分の馬をドバイに出場させたい。マイナーからメジャーへまさに駆け上がった姿をぜひ見たい。

もう一つ続けているのは、障害者や母子家庭であることを理由に大学進学ができない海外の方の手伝いをすること。インド、中国、モンゴルでは実績があるが、タイが難しい。今の自分があるのは、考えることを大学で学べたからだと思っている。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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