人口減の衝撃、896の自治体が消える 増田寛也元総務相が説く「不都合な真実」

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増田寛也(ますだ・ひろや)●東京大学公共政策大学院客員教授。1951年東京都生まれ。同大法学部卒業後、建設省入省。1995年4月より2007年4月まで3期にわたり岩手県知事、2007年8月から2008年9月(第1次安倍改造内閣、福田内閣、福田改造内閣)に総務相を務める。2009年から現職。2011年から日本創成会議座長。(撮影:尾形文繁)

第2次安倍改造内閣の金看板になった地方創生。その背景には「896の自治体が人口減で消滅しかねない」ことがあるという。『地方消滅』(中公新書)を書いた増田寛也・元総務相に話を聞いた。

──サブタイトルに「東京一極集中が招く人口急減」とあります。

人口減少は、とかく出生率や少子化の問題として議論されることが多い。その観点に加えて、東京一極集中が人口減少を加速させていて、国土政策が大いに関係していることに気づいてもらいたかった。そこで、副題に強いメッセージ性を込め、東京一極集中は極点社会化を招いてしまうと警告を発した。

極点社会=東京だけが残る社会

──極点社会化?

東京だけが一極となり、東京だけが残る社会だ。そこには二つの意味があって、東京だけに人が集まる特異さ、異様さ、しかも「人口のブラックホール現象」を招いて、若者を集めのみ込んだうえで、東京での出産・子育ては厳しいがゆえに、結局東京自体も消滅していくことになる。その結果、日本は国全体としても消滅に向かってしまう。その状況を表現している。マイナスイメージを植え付けるつもりはないが、人口動態をあえてこういう表現にした。

──東京には大規模災害リスクもあります。

特に心配されるのは首都圏直下型地震だ。私は昨年末に報告をまとめた検討委員会の委員長をしていた。その報告で被害リスクが95兆円と試算したが、これは一次的な被害額。関連することを考え合わせればさらに被害は大きくなる。しかも、地震学者が30年以内に70%の確率で首都直下型地震は起きる可能性があるとしている。今のままで東京にだけあらゆる機能を集めておくのではなく、企業の事業継続計画(BCP)のようなもので作り替えていかなければならない。災害の面からも東京一極集中は問題なのだ。

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