そこのあなた、詐欺・詐称していませんか?

『詐欺と詐称の大百科』に描かれる華麗な手口

カメレオンのような詐欺師たち。彼らはいつも大胆不敵で意表をつく天才
(写真:写真:Juniors Bildarchiv/アフロ)

「なりすまし」というと、ツイッターのなりすましアカウントに釣られて真に受けてしまい、ちょいと恥ずかしい思いをする、というのは今やよくある話である。
ある選挙の際、候補者の名をかたるアカウントが現れて大勢がフォローするも「これはニセモノだ」というアナウンスがあって、「いやいやホンモノだ」という話もあって、あげく真贋騒動自体が話題作りじゃないの? と言い出すものもあり、と、訳のわからないこともあった。

「わたしは原子力については素人ですが、みなさん一緒に勉強しましょう」といって議論をリードしていたアカウントが、じつは原子力関連のリスクコミュニケーションの専門家で、「これは世論誘導の一環じゃあるまいか」という例もあった。 

詐欺師たちが偽る、4つの理由

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わたしたちは日頃、いかなる根拠をもって人を信じているのだろうか。「この人はこんな人」と、プロフィールや人柄を認識しているが、それがどこまで正確なのか、ほんとうにわかっていると言えるのだろうか。あなたの隣のその人は、見かけ通りの存在ではないかもしれないし、意外な思惑を隠しているかもしれないのである!

本書には、古今東西の「なりすまし」たちの実話がずらりと並べられている。大仕掛けの壮大な詐欺もあれば、ちまちまコツコツ詐称して欺くものまで、いろんなヤツがいるもんだなあと感心するばかりだが、彼らがアイデンティティを偽るのは、ひとえに真の目的・動機を隠すためだ。そしてさまざまな目的と動機は、結局のところわずか4つの「E」に要約できるのだという。

すなわち、羨望(Envy)、エゴ(Ego)、逃亡(Escape)、スパイ行為(Espionage)である。

物理学者に憧れるも大学に行けなかったある男は、実在の学者の経歴を拝借してまんまと教師の職を得る。熱心に学生の指導をし論文を書き、ついにはホンモノよりも出世してしまうのだ。やがてことが露見し新聞沙汰になるのだが、すべてを承知で彼を研究者として雇う会社があったほどの優秀さであった。ついに「自分が“なりたい自分”」になったのである。

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