「感情コントロール」が錦織圭を成長させた 企業や国家組織も学ぶアンガーマネジメントとは

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優勝を逃したのは残念! ただ、マイケル・チャンコーチが重視してきた「感情コントロール」指導が実を結んだ面も(写真:Julian Finney/ゲッティー)

7月まで東洋経済オンラインにて『フェデラー選手も学んだアンガーマネジメント』(全8回)と題した連載を行ってきましたが、ありがたいことにご好評をいただき、このたびタイトルを新たに再スタートすることとなりました。

アンガーマネジメントの改めての説明は後述するとして、ちょうど先ほど、テニスの全米オープンの決勝戦が終わりました。錦織圭選手の敗退は大変残念でしたが、日本人初となる大活躍であったことには違いありません。

今月に入ってから日本中が彼の話題で持ちきりでしたが、その中に「感情のコントロールという面で彼がここ数年大きく成長した」という話がたびたび登場します。

不安や悔しさを建設的なパワーにする

先行連載のタイトルに「フェデラー選手も学んだ」とあるとおり、アンガーマネジメントを有効活用するテニスプレーヤーは少なくありません。錦織選手がアンガーマネジメントのトレーニングを受けたか否かはわかりませんが、このたび名コーチとして脚光を浴びたマイケル・チャン氏の言葉には、アンガーマネジメントのエッセンスを感じるものがありました。

それは、2011年、スイス・バーゼルでの大会決勝戦で、錦織選手がフェデラー選手に完敗したことに対するコメントです。

チャン氏は、錦織選手に「フェデラー戦で、君は大きなミスをした。それは準決勝の後に君が『憧れのフェデラー選手と決勝で当たるなんてワクワクします』と言ったことだ。コート外で選手を尊敬するのはいい。けれども、戦う前から満足してしまってはいけない。コートに入ったら『お前は邪魔な存在なんだ』と思わなければいけない。『優勝するのはお前じゃない、オレだ!』、『過去の実績なんて試合には関係ない』という強い気持ちが必要なんだ。君は相手が誰であろうと勝つことだけを考えるのだ」と諭したのです。

アンガーマネジメントのベースになっている理論に、『ソリューション・フォーカス・アプローチ』があります。これは、「過去は変えられないのだから、過去のことにはこだわらない」、「それよりも、未来志向で、今できることに集中し、最善の結果を目指そう」というものです。

今般の全米オープンでは、錦織選手がランキングで格上の選手にも臆するところが全く見られませんでした。決勝戦敗退後のインタビューでも、錦織選手を陰で支えた「チームK」メンバーへの感謝や、次の試合への意気込みをまっすぐに語ってくれました。これには、「不安や悔しさなどのネガティブな感情は、建設的なパワーやエンジンにしよう」というアンガーマネジメントのメソッドが感じられます。

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