前回は、いわゆる「べき論」を用いて、「自分のこだわり」と「目の前の現実」とのギャップが怒りとなって表れやすいことを説明した。
今回は、怒りの元を断つ方法を解説しよう。
FF行動とは
これまでも、様々な怒りの感情の発生原因をみてきたが、今回もそのうちの一つを確認したい。
FF行動(Fight or Flight Response=闘争・逃走反応)と呼ばれる学説がある。その節によると、動物は恐怖に反応すると、Fight (闘う)または Flight(逃げる)の選択をするそうだ。人間も強い怒りを感じると、FF行動の一環で、鼓動が早くなって血圧が上がり、筋肉を硬くして、「闘う」または「逃げる」ための準備をする。勝てそうな相手にはケンカをふっかけ、勝てそうでなければヤケ酒などに逃避するのが一例といえるだろう。
そのほか、逃避の例としては、TwitterやFacebookなどのSNSで別人になりすまし、他人を非難することなどが挙げられる。直木賞を受賞した朝井リョウ氏の『何者』(新潮社)にもそのようなシーンがあった。
SNSで上司や会社を非難するが、なりすましたことを気に病んで、メンタル疾患になってしまうケースもある。このような怒りの感情を表す選択は、社会生活を送る上で賢明でない。これまでに何度も述べてきたが、怒りの感情を消すことはできない。だから、「怒ること」と「怒らないこと」を上手に区別できる判断(選択)基準を私たちは持ちたい。
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