不安から「薬物」に手を染めてはならない 第7回 具体的な対応策で怒りの元を断つ

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超大物アーティストの覚せい剤使用

第4回で、怒りは「第二次感情(セカンダリー・エモーション)」であることを説明した。怒りの感情が湧いてくる前には、不安、ストレス、悲しみ、苦痛などのネガティブな第一次感情(プライマリー・エモーション)が潜んでおり、これらが「心のコップ」内にたまり過ぎると、いつか第二次感情の怒りへとつながってしまう。

 2014年5月、数々の名曲を世に送り出してきた超大物ミュージシャンが「覚せい剤取締法違反容疑」で逮捕された。使用の動機はまだ法廷で明らかになっていないが、ヒット曲を出さなければならない重圧やヒット曲が書けなくなることへの不安などはなかっただろうか。

不安から薬物依存につながったとしたら、FF行動のうちの「Flight=逃走反応」の一つだ。逃走を選択するにしても、薬物に手を染めてしまえば、自分の肉体を蝕み、家族を傷つけ、築いてきたすべてのものを失うことになる。

 薬物依存まではいかないにしろ、アルコール依存、ギャンブル依存、買い物依存、過食なども不安からの逃避であり、「先の見えていない、問題の先送り」だ。確率的に見て勝てるはずのないパチンコに毎日没頭したところで、抱いている不安の根本的解消には至らない。

 大切なことは、怒りの元である不安やストレスを早めに察知し、手遅れになる前になんらかの手を打つことである。学校でのいじめも、企業におけるパワハラも、早めに怒りの芽を摘めば対処がしやすい。同様に、不安やストレスの解消も、早めの対応がカギを握る。

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