マー君に学ぶ、復活のための「解決志向」 無意味なイライラを断ち、窮地を抜け出す

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連載第1回の『「感情コントロール」が錦織圭を成長させた』には、おかげさまで大きな反響をいただきました。つねに冷静な判断を要するスポーツの様々な場面において、アンガーマネジメントは相性よく作用します。今回は、田中将大投手のケガ治療における冷静な感情コントロールから、私たちが窮地に陥ったときの対処方法を学びます(写真:アフロ)。

 

7月に右ひじの違和感を訴え、故障者リスト入りしていた田中将大投手。9月21日にヤンキースタジアムで、故障表明以来75日ぶりの復活勝利を果たしました。ニューヨーク・ヤンキースのジョー・ジラルディ監督は「見事に復活してくれてホッとした。タナカも『登板後はひじの痛みもない』と言っている。来季はフル回転させるつもりだ」と語りました。

28日のレッドソックス戦では、残念ながら2回を待たずに7失点に倒れましたが、ジラルディ監督は田中投手の右肘について「問題ない。(復帰から)2試合で問題がなかったのだから、よかった」と明言しています。

なぜ復帰を急がなかったのか

そんなジラルディ監督も、プレーオフ争いで厳しい位置につけているからか、田中復帰前の8月29日には「チームのために投げてほしい。今季残りを休ませるのは手術のときだ」と、早期復帰を熱望していたようです。その頃の田中投手は、すでにシート打撃登板も始めており、リハビリが順調に進んでいたようでした。

しかし、田中投手は同日、「誰でも投げ始めで張りとかは出てくると思う。1回時間をもらって整えたい」と話し、その後1週間ブルペンに入らず、本格的投球を回避するという判断を下しました。この際、「この1週間で変えられるのではないかと思う」というコメントも残しています。

「急いてはことをし損ずる」という心境だったのでしょうか。大きな期待を寄せられた異国での初年度にもかかわらず、復帰を焦ることなく、自らとても冷静な決断を下したと言えるでしょう。

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