マー君に学ぶ、復活のための「解決志向」 無意味なイライラを断ち、窮地を抜け出す

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今回の田中投手のケガ治療には、私たちも学ぶべき点が多くあると思います。スポーツ選手だけでなく、ビジネスパーソンにとっても「無意味なイライラ」は天敵なのです。

イライラを放置すると、心身に異常が生じやすくなります。特に多いのが自律神経の異常。自律神経とは、消化、発汗、呼吸など、自分ではコントロールできない神経です。イライラが募り、自律神経に異常をきたすと、食べ物をおいしく感じられなかったり、下痢や便秘を繰り返したり、手に汗をたくさんかいたりします。呼吸も荒くなりがちです。

天気や渋滞に怒っても無意味

また、いつまでも怒りの感情が消えないと、常に緊張しているような状態が続くので、寝床についても怒りが消えず、その結果睡眠が浅くなり、朝起きるのが辛くなります。そして、睡眠不足でまたイライラしてしまい、周囲に負の感情をまき散らしてしまうという悪いスパイラルに陥りかねません。

アンガーマネジメントの考え方に照らせば、こういった状況から早く抜け出すためのポイントは、「怒っても仕方のないことに怒っても無意味」と割り切ることです。たとえば、天気に怒ったところで何も変わらないし、渋滞にイライラしたところで解消されない。電車の遅延も、自分がいくら腹を立てても早まりません。

雨が降ったら傘をさす。渋滞に巻き込まれたら好きな音楽を聴く。電車が遅れたら相手先への報告と代替案の提示。結局、できることをするしかないのです。

私たちが窮地に陥ったとき、まず考えるべきは「具体的・現実的対処策」です。言うまでもなく、某元県議会議員のように「泣いてキレる」ことではありません。

アンガーマネジメントには、上記のような実生活に役立つ「感情コントロール」の手法が多く含まれています。ご興味を持たれた方は、拙著『パワハラ防止のためのアンガーマネジメント入門』をご高覧ください。

小林 浩志 日本アンガーマネジメント協会認定ファシリテーター

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こばやし こうじ / Kobayashi Koji

 

青山学院大学大学院法学研究科修了(法学修士)。
横浜市戸塚区で社会保険労務士・行政書士の事務所を経営する傍ら、社会人大学院でパワーハラスメントの法的・実務的対策を研究。パワハラ防止策の有効なツールとしてのアンガーマネジメントを数多くの企業、学校、病院等へ紹介している。
・特定社会保険労務士、行政書士、第一種衛生管理者
・公益財団法人21世紀職業財団認定セクハラパワハラ防止コンサルタント(客員講師)
・一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会認定ファシリテーター
・日本スポーツ法学会会員
著書に『パワハラ防止のための アンガーマネジメント入門』(東洋経済新報社)、『現場監督のための 早わかり労働安全衛生法』(共著、東洋経済新報社)などがある。

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