「感情コントロール」が錦織圭を成長させた

企業や国家組織も学ぶアンガーマネジメントとは

アンガーマネジメントという言葉からは、「自分の感情を抑え込んでしまう」ための消極的ツールのような印象を受ける方も多いのですが、それは大きな誤解。チャン氏が教え、錦織選手が実践したような、「自分の感情をコントロールし、パワーにする」という活用方法もあるのです。

端的に言えば、アンガーマネジメントは「怒りの感情と上手につきあうこと」。「怒らなければいけない場面では上手に怒り、怒らなくていい場面では怒らない人になる」ための心理トレーニング方法です。認知心理学などをベースにしており、簡単な技術論を日々積み重ねることで、怒ることと、怒らないことの 適切な仕分けができるようになっていきます。

私たちは、「怒らなくていいこと」に「怒り」、「怒らなければいけないこと」に「怒れなくて」は、日々イライラしているのです。そして、毎日これを繰り返して、どんどん、どんどん、ストレスが増していくのです。

アメリカでは、お騒がせセレブも学んでいる

一方で、怒りやイライラにまつわる「後悔」を減らすことができれば、私たちの日常生活は格段に快適さが増していきます。適切なセルフコントロールができるようになり、「人生、なぜかうまくいく」ための状況判断が上手になることでしょう。

実はスポーツ選手以外にも、アンガーマネジメントに縁の深い有名人がたくさんいるのです。

ジャスティン・ビーバーは裁判所からアンガーマネジメントの受講命が下っているが……(写真:Araya Diaz/ゲッティー)

Justin Bieber Must Enroll in Anger Management in Plea Deal(abc NEWS)

上の記事は、隣人宅に生卵をぶつけるなどのトラブルを起こしたカナダ人歌手のジャスティン・ビーバーに対し、怒りを抑えるためのアンガーマネ ジメントの講習を受けなければならないほか、8万ドル(約800万円)を賠償、さらにはゴミ拾いや落書き消しなどの社会奉仕活動を行いなさいとする裁判所命令が下された、というものです。

日本では馴染みの薄い「コートオーダー」ですが、アメリカでは実刑を科す代わりに、司法取引の一環として、裁判所から罪を犯した者にアンガーマネジメントを学ぶよう命じられることがあります。

セレブとて例外ではなく、ジャスティン・ビーバー以外にも、これまでにクリス・ブラウン、ショーン・ペン、ナオミ・キャンベルなどへアンガーマネジメントの受講命令が出されたことがあります。

ただ、彼らについてはその後もいくつかの衝動的トラブルを起こしたという報道がされていますから、アンガーマネジメント・トレーニングを真面目に受けたとは考えにくいです。

一方で、例えば、ミュージシャンのエミネムなどは、自身のコンサートツアー名を「Anger Management Tour」(2005年)としたり、ロックバンドのメタリカは、伝記映画「Some Kind of Monster」(2005年)において、グループでアンガーマネジメントを受講しているシーンを公開するなど、アンガーマネジメントを有効 活用している事例も複数あります。

次ページ日本にもアンガーマネジメントが浸透し始めている
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