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母に刺され父は浮気…娘が「先生」の道に進んだ訳 救われた記憶に「今度は助ける側にまわりたい」

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  • 大塚 玲子 ノンフィクションライター
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さらに、結婚の先にある子育てについても、不安を感じるといいます。

「『理想の母親像』みたいなのは、なんとなくわかるんですが、『日常のお母さんって何?』みたいなのがわからない。ふつうの親って、機嫌が悪いときどういう行動をとるの? ちょっとしたことをふつうに叱る親って何? どういうやり方? どういう会話? わからん、わからん、みたいな。結婚にたどり着くのも難しいし、たどり着いたあとにどうやって振る舞っていいかもわからない。だからすごく不安です」

正直、「理想の母親像」など目指さないほうがいいと思うのですが、いわゆる「ふつうの親」は自分の家にでもいないと、想像がつかないでしょう。

世界に対する警戒度を、何段階か下げることができた

筆者が心配そうな顔をしていたからでしょうか。最後に那津さんは、気を取り直すかのように、こんな話をしてくれました。

「私は大学生のときにあの家を出てから、人生がいいほうに行き始めた感覚はすごくあります。いまも高校時代の友達とよく会うんですが、『高校生のときのあなたって、めちゃ嫌なやつだったよね』って言われて(笑)。確かにそうだな、と思うんですよ。傷つけられる前に相手を傷つけておかないといけないし、何か言われる前に自分の主張だけはしておかないと足をすくわれる、みたいな感覚があったから。

でも家を出て、『自分が何もしていないのに、不意にスパンと嫌なことをされる』ってそうそうないんだな、というのがよくわかってきた。人を傷つけないで、うまくやったほうが自分にとってもいいし、波風の立たない人生になる。それがわかってから、いろんな人が関わってくれるようになったし、助けてくれるようになった。弱いところを出しても別に取って食われないんだな、というのがようやくわかりました(笑)」

この世界に対する警戒度を、何段階か下げることができた、という感じでしょうか。彼女の昔の担任の先生ではないですが、これから先も「頑張らないことを頑張って」、子どもたちを見守ってもらえたらなと願います。

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