HRプロ株式会社
前回は大学階層別に学生のOB/OG訪問を分析し、上位校ほど就職意識(意欲)が高く、その結果として内定率も高いという結論を導いた。OB/OG訪問という「行動」と「意欲」が内々定という「結果」とある程度比例している。採用は、その学生の所属大学だけでなく、学生個人の意欲を評価するものである。行動しない下位校の学生の内定率が低いのは当たり前だ。さて今回は、企業の採用手法について考えてみる。ネットと携帯電話を使いながら育ってきた学生は、Webからのプレエントリーやセミナー申し込みが就活だと思い込んでいるようだ。OB/OG訪問という「行動」をしない学生の方が全体的には多い。しかし学生が「Web就活」に慣らされているのと同様に、採用人事も「Web採活」にはまってしまっているのではないか?
●就活を通じて「好き嫌い(志望好感度)」を醸成していく学生
人が行動する時の価値観は単純だ。「損か得か」「良いか悪いか」「好きか嫌いか」をその人なりに考えて(無意識のこともある)、行動(選択)している。就活でもこの原理は変わらない。人気企業ランキングでは、「選んだ理由」を学生に選択させるが、「企業イメージがいい」「技術力がある」「業界上位企業」などは、「損得」をベースにした「好き嫌い」の価値軸だと思う。ただし就活に限らず、先のことはわからないから「損か得か」ははっきりしない。「良い悪い」もあいまいだ。日本の政党でも正反対の政策を主張しているが、どちらが良いかはわからない。1つだけ間違いようがないのは「好き嫌い」だ。人はものを買ったり、どこかに行ったり、誰かを好きになったりするが、すべて「好き嫌い」に基づいている。
人間は好意を持つと、その人のことを受け入れ、信じやすくなる。マーケティングでブランドが重視されるのも、好意的に認知されたブランドは集客力を持つからだ。
学生の就活でも「好き嫌い」は大変に大きな要素だ。もともとその企業の製品を使っているから、好意を持ち入社したいという者もいる。しかし多くの学生は就活を通して「好き嫌い」を醸成していく。一般的には、「接点」を持った企業に対する志望好感度は上がる。
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