HRプロ株式会社
前回は、2011年度新卒採用戦線の学生の動きを追った。「プレエントリー」「説明会参加」「面接」という就活の流れで、2010年度と際立って異なっていたのは、早い段階ほど増加率が高い(プレエントリー数)が、説明会、面接と後半になるにつれて2010年度との増減の差が縮まっていることだ。また、どの企業でもプレエントリー数が増えたが、特に大手企業では圧倒的に増大した。今回は、大学階層別に分析してみよう。
●旧帝大、早慶、MARCH、日東駒専などの大学グループ呼称
「大学階層」という言葉は、採用戦線を整理するためにHRプロが用いた用語である。HRプロの大学分類の前に、大学グループについて書いておこう。大学は、その歴史や偏差値、立地によってグループ呼称されることが多い。旧帝大と言えば、帝国大学として設立された東京大学、京都大学、東北大学、九州大学、北海道大学、大阪大学、名古屋大学を指し、旧帝大クラスと言えば、一橋大学や東京工業大学、最近では神戸大学を入れることも多い。
偏差値上位校では、東京一工(東京大学、京都大学、一橋大学、東京工業大学)という呼び名もある。早慶については説明する必要もないだろう。早慶クラスという時には、早稲田、慶応のほか、上智を含めることも多い。
以下に主な大学グループの名称を書き出してみる。
MARCH(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)、日東駒専(日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学)、大東亜帝国(大東文化大学、東海大学、亜細亜大学、帝京大学、国士舘大学)、関関同立(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)、産近甲龍(京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学)、G−MARCH(MARCH+学習院大学)、関東上流江戸桜(関東学園大学、上武大学、流通経済大学、江戸川大学、桜美林大学)、摂神追桃(摂南大学、神戸学院大学、追手門学院大学、桃山学院大学)、成成独國武(成城大学、成蹊大学、獨協大学、國學院大学、武蔵大学)、GIジョー(学習院大学、ICU、上智大学)。
これらの多くは1980年代には周知のもので、歴史は長い。一説には旺文社が発行している大学受験誌「蛍雪時代」が命名したという。
●HRプロの「大学階層」は7つのクラスに大学を分類
HRプロが使う大学階層は、7つのクラスに大学を分類している。定義は上記と異なるところもあるので、代表的な対象大学も記しておく。旧帝大クラス(旧帝大+一橋、東工、神戸)、早慶クラス(早稲田、慶応、上智、同志社、関西学院)、上位国公立大クラス(筑波、横浜国立、金沢、首都大学東京など)、上位私大クラス(MARCH、南山、関西、立命館など)、その他国公立大(旧帝大クラスおよび上位国公立クラスを除く国公立大)、中堅私大クラス(日東駒専、産近甲龍など)、その他私立大学である。偏差値で言えば、70以上のレベルもあるし、その他私立大の中には40を切る大学もある。しかし採用戦線の調査では「男女別」「文理別」のデータは公表されるが、「大学階層」についてのデータはほとんど存在しない。企業が新卒採用ではどの大学の学生でも参加できる「オープンエントリー制度」にして「学校名不問採用」を標榜していること、就職サイトを運営する就職情報会社は大学との業務的なつながりを考慮して大っぴらに階層分けをうたいづらいことなどがその理由と思われる。
「学校名不問採用」は、1990年代初期にソニーが導入した制度で、「人物本位採用」というものだ。1980年代には企業が採用する大学を明らかにする「指定校制度」があったが、ソニーの「学校名不問採用」宣言以来、どの企業も「指定校制度」を廃止し、「学校名不問採用」にした。
しかし常識的に考えて、上位校と中位校、下位校では学生の就職意識も能力も異なるだろう。そこでHRプロでは、学生を大学階層別に並べてその差異を調べてみた。
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