新庄剛志監督が就任会見で見せたリーダーの資質 決して「面白い人」「変わり者」ではない

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就任記者会見に臨むプロ野球日本ハムの新庄剛志新監督(写真:共同通信)

11月4日14時、札幌市内でプロ野球・日本ハムファイターズの新庄剛志監督が会見を行いました。

まず驚かされたのは、会見の大半を「ゴゴスマ~GO GO!Smile!~」(CBC・TBS系)が生中継したほか、「情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)と「バイキングMORE」(フジテレビ系)も数分遅れのディレイ中継したこと。プロ野球の監督就任会見が地上波の全国放送番組でここまでフィーチャーされるのは異例中の異例です。

しかも会見で発した新庄さんのコメントには、人気者である理由が詰まっていました。しばしば言われる「面白い人」「変わり者」ではなく、仕事の面でもしっかり期待を抱かせてくれる資質の持ち主だったのです。

リスペクトと爆笑のバランス感覚

新庄監督はスーツ姿ながら、シャツの大きな襟を立たせ、胸元がはだけた着こなしで会見場のド真ん中に登場。司会者から紹介を受けると、右手でアロハポーズを作りながらドヤ顔を見せて、会場の笑いを誘いました。

最初のあいさつでは、「1946年。今から75年前に第1代目の横沢(三郎)監督。そこから21人目の栗山(英樹)監督、その次に22代目の監督として選ばれたことが非常にうれしく、また、“選手兼監督”という形で契約を結んでいただきました」と話しはじめ、隣の川村浩二社長が「いえいえ、“監督だけ”です」と間髪入れずにツッコミ。

「すいません!“監督だけ”でした。監督らしく、ビシッと監督っぽい格好で来ました。これからは顔を変えずにチームを変えていきたいなと思います」と整形をした過去に引っかけてボケを重ねました。

冒頭から立て続けに笑いを生んでなごやかなムードを作っただけでなく、きちんと歴代監督へのリスペクトをほのめかす話術は見事。新庄さんは「ただ笑わせようとしているだけ」のように思われがちですが、順序としては、第1にリスペクト、第2にサービス精神というタイプの人なのでしょう。

代表質問の1つ目で監督就任の心境を聞かれた新庄さんは、「自分がいちばんびっくりしています。『僕でいいのかな』という思いの反面、『僕しかいないな』と。日本ハムを変えていきますし、『僕がプロ野球を変えていきたいな』という気持ちで帰ってきました」とコメント。これは「真っ先に『変えていく』とはっきり言い切ることで、注目を集めるとともに本気度の高さを伝え、関係者をその気にさせる」という管理職に有効なテクニックです。

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