わが社の社員は何にも代えがたい存在なので「人財」と呼ぶ。人事部は人財開発部と命名して、社員の活性化に取り組んでいる――。
先日、そう語る製造業の人事部長に話を伺いました。人材という言葉はご法度で、すべて人財と記載するように社内でルール化しているのだそうです。
ネットで調べると、今同じように社員を「人財」と呼ぶ企業は少なくありません。こうした傾向は2000年あたりから少しずつ増えてきたように思います。では、本当にそれだけ大事な存在として扱っているのか?
具体的に話を聞くと、育児休業の取得拡大や残業削減に取り組むケースは多くあります。その一方で、離職率が高い、従業員満足度調査の点数が低いといった課題が顔を出したりも。発信している内容とのギャップを感じざるをえません。
実際、社員がさほど大切にされていないのか、不満や離職が増加している”人財企業”の話も耳にします。社員を人財と呼ぶ会社に勤めるSさんは、上司のパワハラに遭い、その状況を人事に相談したにもかかわらず対策をとってもらえなかったと嘆きます。別の会社に勤めるGさんは、ワークライフバランスを重視する方針と聞いて入社したところ、残業や休日出勤が多く、体調を崩してしまったとのこと。
発展途上で、努力している最中の会社なのかもしれませんが、社内外にアピールするならギャップを埋めるべきでしょう。
入社してから“人財ギャップ”に驚くことも
転職で“人財ギャップ”に驚く人も後をたちません。エン転職の調査では約8割の転職経験者が入社後、風土・社風・昇給制度・教育体制などでギャップを感じたと回答。たいていの求人には社員を大事にしている姿勢が紹介されていますが、入ったらまったく違っていた――。そんな不満をいだいている人は相当にいると思います。
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