「ブラック職場で夫失踪」救った妻の見事な対応 会社に殺されない自分の心の守り方
他人に振り回されがちな人は、そのストレスで心身に不調を来し、場合によっては命まで手放してしまう可能性があります。公認心理師、臨床心理士である谷地森久美子氏の著書『ふりまわされない自分をつくる 「わがまま」の練習 心の中に線を引けば全部うまくいく 』を一部抜粋・再編集し、仕事で精神的に追い込まれたときの本人や支える側の対処法をお届けします。
夫が家を出たまま出社しなかった
Cさんとの出会いは、臨床心理士の私が当時勤務していた精神科クリニックでした。
クリニックの待合室では、ぐったりとしているCさんのわきで、心配そうに、奥さんが付きそっていました。奥さんが経緯説明や症状などの情報を記した、インテークシートには、次のように書かれていました。
2日前の朝、夫Cは家を出たまま出社しませんでした。その日は夜遅くまで、会社と警察と連絡を取りながら夫をさがしまわりました。幸いなことに、深夜3時ごろ夫から私あてにメールが入り、昨日、帰宅しました。
私が『生きて帰ってきてくれただけでよかった』と伝えたら、夫は『つらくなりすぎて、誰もいないところに行きたくなった。でもふと君の顔が浮かんできた。おおごとになって申し訳ない』と泣きながら、話してくれました。夫が心おだやかにすごせるようになるにはどうしたらよいでしょうか。
時間となり、私がCさんをカウンセリングルームに案内しようとしたとき、奥さんは頭を下げて言いました。
「カウンセリングのあとで、私にもアドバイスをください。夫にはOKをもらっていますので」
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