「ブラック職場で夫失踪」救った妻の見事な対応 会社に殺されない自分の心の守り方
多くの場合、支え手側が陥りやすいのは、弱っている人に対して、否定語をもりこみながら無責任に励ましてしまうこと。具体的には、『なんで、そんなことをやってしまったのか。こういうの、あなたらしくない。残念だ。もっと前向きに頑張れ』といった言葉の用い方をしないこと。
『なんで』『らしくない』『残念』は、弱っている相手にとっては否定語になります。『もっと前向きに頑張れ』と声をかけることは、あまりに酷で、さらなる徒労感や失望感をいだかせるだけです。
それから今後、ご夫婦で心にとめていただきたいこと。それは、夫婦や家族だと心理的距離が近すぎて、お互いにつらくなることがあります。支えている方にも、支えてくれる相談相手が必要なのです。
そのため、カウンセリングというよりも、家族ミーティングのイメージで、定期的にこちらで話し合いの場をもちましょう」
このカウンセリング後、主治医の判断で、Cさんは1か月の病気休暇を取ることになりました。私はCさんの許可をもらったうえで、会社の担当者や産業医に対して、状態や経過に関してやりとりし、それを夫婦そろっての家族ミーティングで話題にし、会社の受け入れ状況を確認していきました。
家族にとっても気がかりはたくさんある
危機的状況に陥っている本人のみならず、その家族にとっても、今後の身分や給与、復帰の可能性など気がかりはたくさんあるものです。一見、当たり前のようですが、療養中、心の専門家が本人や家族にかわって、会社に対して働きかけることは、回復を促す重要なポイントです。
その後、Cさんは3か月の休暇をとりながら、日々穏やかな生活を重ねることで、確実に回復へと向かっていきました。
過重労働、パワハラ、セクハラなど過酷な労働環境の問題は、新卒のみなさんやその親御さんにも、ぜひ考えていただきたいことです。
私のオフィスにも、過酷な職場環境の中で、立場が弱い分、不当で卑劣な扱いをされながら、頑張っている20代の人たちがやってきます。
過度な責任を押しつけられ続けた人たちは、最終的に心身の不調で働けなくなり、それがきっかけで会社を離れることが少なくありません。ですが、これではご本人に相当なダメージが残ります。
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