コロナ禍で急増している「未経験IT就職」の実態 志望者は若者だけでなく、30~40代にも広がる

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社会人経験があれば、能力や経験、実績をアピールできる。ただ、別分野での経験はあくまでも別分野の経験なので、アピール度がそこまで高いわけではない。結局は基礎学習が必要となり、業務に関連する資格を取得することが最もアピールにはなる。

筆者が以前支援した30代前半の求職者は、大学卒業後フリーターとして居酒屋で働いていた。勤続年数も10年を超えていたため、接客や調理だけでなく、アルバイト管理、店長補佐業務まで経験していた。しかし、就職活動を開始した当初、書類選考を通過した企業は1社もなかった。不採用となった理由は、30代前半という年齢の割に「社会人経験がない」「業務レベルがそこまで高くない」ことだった。

求人ニーズの高いITスキルを学ぶべき

そこから業務に直結する専門資格であるCCNA(インフラエンジニアの登竜門的資格)の取得を目指し、取得後に面接まで進める企業があり、無事に内定となった。このケースでは、資格を取得したことで「教育コストが下がる」「配属しやすい」といった採用企業側のメリットが生じたことが良い結果に繋がった。

IT未経験から学習を進めたいという人には、無料の学習サービスもあるので、利用をおすすめする。ちなみに、筆者が所属するUZUZではプログラミングやネットワークの基礎学習ができる動画教材をYouTubeで無料公開している(こちら)。

専門資格の取得を目指したり、ITの基礎学習を進めようと考えた際、ITスクールの利用を検討する求職者は多い。しかし、ITスクールにも落とし穴がある。それは、せっかく学習しても、学んだ範囲が「未経験を採用していない分野」であると、就職には繋がらないことだ。

スクールを利用する場合は、まず「どの分野であれば未経験者でも採用される可能性が高いか?」をしっかりと調べ、その分野の就職につながる基礎学習ができるカリキュラムを提供しているサービスを選ぶべきだ。間違っても、就職につながらない上にお金や時間を浪費してしまう就職活動にはならないよう、気をつけてもらいたい。

川畑 翔太郎 UZUZ COLLEGE(ウズウズカレッジ) 代表取締役

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かわばた しょうたろう / Shotaro Kawabata

1986年生まれ、鹿児島出身。高校卒業後、九州大学にて機械航空工学を専攻。大学卒業後、住宅設備メーカーINAX(現・LIXIL)に入社。1年目からキッチン・洗面化粧台の商品開発に携わるも、3年目に製造へ異動し、毎日ロボットと作業スピードを競い合う日々を送る。高校の同級生の誘いと自身のキャリアチェンジのため、「UZUZ」立ち上げに参画。第二新卒・既卒・フリーターといった20代若者への就業支援実績は累計2,000名を超える。2024年よりIT/DX分野の教育研修事業「ウズウズカレッジ」を分社化し代表取締役に就任。就活メディアはこちら、X(旧Twitter)はこちら、YouTubeはこちら

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