わが子に「憎しみさえわく」親の葛藤をどうするか 「自分は毒親」苦悩する親に伝えたいこと

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原因が「親の孤立」である場合もあります。その場合、同じような立場にある人とのコミュニケーションが役に立ちます。

コロナ禍において、オンラインを通じたコミュニケーションの場が増えています。

一方通行の動画を見ることとは異なり、双方向のやり取りとなりますので、可能であれば短くても時間を取ることができれば、随分と気持ちが軽くなると思います。

問題の深さによって対応を変える

(2)問題が一段深いケース

上記の内容でも子どもへの対応が難しい場合、親自身が「内省」していくことが必要かもしれません。親の心理的問題が原因として潜んでいることが少なくないからです。方法やアプローチを知るというレベルでは対応できず、さらに内面の問題を解決しなければならず、親の心理的リハビリが必要になるときがあります。

例えば、親が自分の育ちを振り返り、過去の何が自分に影響を与えているのかを考察することや、自分の親がまだ頭の中に“存在”し、その価値観で自分を縛っていることを認識するなどです。

根拠なき「こうでなければならない」という考えに縛られているとしたら、その可能性は低くないかもしれません。

内省し、ある自覚が出てきたら、上記の(1)の段階の方法をいくつか試されると良い方向へと進んでいくことが、筆者がこれまで多く見てきた中で確認できました。

(3)問題が最も深いケース

上記の(2)でも全く解決方向に進まない場合は、非常に深いレベルに原因がある可能性があります。自分の力では解決できないレベルにきています。

この段階では、早期に専門家の先生に相談することをお勧めしています。筆者のところにもこの段階の方の相談があります。数は多くありませんが、年に何件かあります。その際、必ず専門家の先生を紹介しています。そのほうが、解決が早いからです。

寺島さんは自分の今の状態を客観視できているようですので、おそらくどのレベルにあるかおわかりかと思います。しかし、もしわからないときは、(1)の段階から順に試されてみてください。この3つのケースがガイドラインとして少しでもお役に立てれば幸いです。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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