五輪強行「デルタ株と脆弱検査」募る日本の大不安 ワクチン接種間に合わないまま流行期とも重なる

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今夏の東京五輪開催までにワクチン接種は国民に行き渡らない(写真:Kentaro Takahashi /Bloomberg)

新型コロナウイルス(以下コロナ)の感染が東京を中心に再拡大している。東京都の6月25日の感染者数は562人で、1週間前と比べて109人増加した。デルタ株(インド株)の感染者は68人で、1日当たりで最多となった。

デルタ株が拡大しているのは日本だけではない。イギリスのイングランド公衆衛生庁は6月18日、国内の新規感染者の99%がデルタ株によるものと発表しているし、アメリカでもデルタ株の割合は、5月8日の1.2%から6月19日には20.6%へと増加している。

デルタ株はアジアの「ファクターX」をかいくぐる?

日本にとってデルタ株は危険な存在だ。それは、京都大学の研究チームが報告したように、従来株と比較して、感染力が1.95倍強いからだけではない。デルタ株は「ファクターX」をかいくぐる可能性があるからだ。

「ファクターX」とは、第1波の流行で、欧米諸国が行ったロックダウンのような厳しい措置をとらなかった日本の感染者や死者数が少なかったことから提唱された仮説だ。山中伸弥京都大学教授は、その理由として、日本人の遺伝的要因、高い衛生意識、BCG接種、過去の何らかのウイルス感染との交叉反応などを挙げている。

昨年、第1波の流行が収束した後、政府は「日本型モデルの成功」と自画自賛し、一部の専門家は「ファクターX」の関与を主張した。しかしながら、この主張は正確ではない。実は、「ファクターX」が存在したのは日本だけではない。アジアの広大な地域で存在が確認されている。

西アジアを除く、アジア諸国での感染者が、欧米より遙かに少なかったことは示唆に富む。日本の第3波に当たる昨年12月~今年2月、アジアの1日当たりの新規感染者がもっとも多いマレーシアでさえ、人口100万人当たり147人だった。ちなみに日本は同51人でアジアでは2番目に多かった。

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