日本のワクチン接種が他国に比べて遅れている。先進国どころか、世界全体で見ても大きく遅れていると指摘されている。メディアは連日、ワクチン接種率が世界的に見てどん底に近いと報道し続けている。
実際にNHKの報道によると、世界のワクチン接種回数は累計で、中国の約4億5000万回(5月21日現在)を筆頭に、アメリカが2億7000万回、インドが1億8000万回なのに対して、日本は750万回と2桁も違うのが現実になっている。
こうしたワクチン接種の遅れを、メディアはさまざまな角度からさまざま方法で分析しているが、その大半が「国内ワクチン開発の遅れ」や「ワクチン接種の準備不足」「ワクチン接種の現場での混乱」「東京五輪を優先した弊害……」といったアプローチでの分析となっている。
とりわけ、メディアの格好の取材対象となっているのが、各自治体でのワクチン接種の混乱ぶりだ。余ったワクチンを捨ててしまう、行政のトップが医療関係者と称して先に接種するといった話題が、日々機関銃のように報道されている。
しかし、日本のワクチン接種の遅れは、もっと奥深いところ、根源的な部分にあるのではないだろうか……。一部メディアでは「日本人の完璧主義による弊害」や「法律の不備」といった曖昧な部分での指摘も相次ぐ。毎日毎日、同じニュースを流し続けるテレビや新聞に対する弊害を指摘する人もいる。
なぜ、「日本のワクチン接種は遅れたのか……」。今回のパンデミックによって、日本政府はむろんのこと、日本国民全体でも「リスク管理」がきちんとできていなかったことは間違いない。とはいえ、日本人全体が能天気に平和ボケしてきたわけでもない。現場は、いまでも24時間体制でコロナと戦い続けている。なぜ、こんな状況になったのを正しく分析することで、次の「有事」の糧としなければならないだろう。
日本のワクチン接種が遅れた4つの要素
すでにさまざまなメディアで報道されているように、日本の新型コロナウイルスのワクチン接種が遅れた理由は、数多くが指摘されている。ざっとその内容を整理してみると、その本質が見えてくるはずだ。
①ワクチンが調達できなかった
②ワクチン接種の準備が遅れた
③ワクチン接種で混乱が起きた
④ワクチン接種のロードマップが見えない
簡単に整理すると、こんなところだろうか。順番に見ていこう。
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