日本に「ワクチン供給網強化」が何より必要な訳 感染拡大、変異を止めるために何ができるか

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出遅れた日本に必要なことは何か?(写真:Noriko Hayashi/Bloomberg)
米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。
独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

危機管理としてワクチン接種を急いだイスラエル

世界最速で新型コロナウイルスのワクチン接種を進めたイスラエルは、成人のワクチン接種をほぼ完了し「移動の自由」を取り戻しつつある。それでもイスラエルはコロナへの警戒を緩めていない。2回接種完了した国民に必要であれば3回目も接種できるよう、世界でいち早く2022年のワクチン供給につきファイザー社と契約締結した。

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日本では菅義偉首相がワクチンをコロナとの闘いにおける武器ととらえ、1日100万回の接種を目標に接種を進める。これまで供給確保に苦しんできた日本は接種キャパシティ増強とともに、今後も続く変異株の脅威に備え、ワクチン・サプライチェーン強靭化を急がねばならない。日本がレジリエント(強靭)なワクチン・サプライチェーンを構築できれば、ワクチン接種が難航している新興国や途上国にも希望となる。

イスラエルの人口は東京23区とほぼ同じ約900万人。1月には感染者数が1日1万人を超える日もあったが、ワクチン接種が進んで感染者数と死者数は激減し、10カ月ぶりに死者数ゼロの日も出てきた。

イスラエルはコロナを国家的危機ととらえ、感染症危機管理に奔走してきた。ネタニヤフ首相はワクチン争奪戦で主導権を取るためファイザーのアルバート・ブーラCEOと直接協議を重ねた。交渉の切り札としたのは、臨床試験ではなく、国民に接種することで得られるリアルワールド(実世界)データの提供であった。

イスラエルではワクチン接種証明アプリ「グリーン・パス」の社会実装も進んでいる。接種証明を提示することでスポーツ観戦やレストランでの食事を楽しめる。ただし、接種証明には有効期限が設けられている。ワクチン接種完了から6カ月である。

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