大きく出遅れたまま、一向に加速がかからない新型コロナの予防接種。米英にはおろか、先進国として最低レベルの接種率となっている。
首相官邸発表によれば、5月23日までの接種数は医療従事者に約643.8万回、高齢者に約233.9万回で、合わせて約877.7万回。現時点で接種が認められている16歳以上の人口は計1億人超なので、2回接種だと2億回超の接種が必要だ。まだ5%にも満たない。
国は5月24日、自衛隊医官を投入して高齢者向けにモデルナ製ワクチンの大規模接種を開始したが、それでも接種できるのは1日1.5万回という。自治体によるファイザー製ワクチンの医療者・高齢者向け接種は、直近の7日間平均で1日あたり約35万回。合わせても週に約255.5万回という状況だ。
もしこのままのペースなら、16歳以上の国民全員が接種を受けるには、単純計算であと約75週=524日かかってしまう。対象者が12歳まで引き下げられれば、さらにかかる。
実際には接種を受けない人、受けられない人もいるし、先日承認申請されたジョンソンエンドジョンソンの1回接種ワクチンが導入されれば、完了は早まるだろう。それでも来春までかかるというのは、決して大袈裟な見積もりではなさそうだ。
この冬いっぱい、人々は順番に新型コロナワクチンの接種を受けることになる。それだけ長引くならば、検討されるべきは「同時接種」の導入だろう。
CDCはなぜ「同時接種」を認めたのか?
5月14日、アメリカCDC(疾病対策センター)が新型コロナワクチンに関する情報をいくつか更新した。その中の1つに、同時接種がある。
同時接種とは、あらかじめ混合されていない2種類以上のワクチンを、混ぜずにそれぞれ別の注射器で、1回の受診でまとめて接種することをいう。
同時接種自体は欧米では普通に行われてきたが、新型コロナワクチンに限り、これまでCDCは慎重な姿勢を見せていた。「異なるワクチンとの同時接種に関する安全性・有効性の情報が不足している」ことを理由に、「14日間の間隔を空けるべき」としていたのだ。
ただし、外傷時の破傷風ワクチンや流行時の麻疹ワクチンなど「接種による利益が上回る場合」や、長期療養施設でインフルエンザ予防接種を受けた後に新型コロナワクチンの接種機会を得た場合など、「チャンスを逃さないため」には、「短い間隔での接種を検討する余地がある」としていた。
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