そして5月14日、CDCは諮問委員の勧告を受け速やかに、同時接種を認める方針を発表。アメリカ国内での「緊急使用許可下において、安全性データが十分に集まった」結果だという。新型コロナワクチンについては同時接種のデータはないが、それ以外のワクチンでの豊富な経験から、「同時接種でも免疫原性や副反応は単独接種とほぼ同じ」としている。
一方、英国は現在まで、同時接種は「日常的には行われるべきでない」との方針を継続しており、「理想的には、少なくとも7日間の間隔を空けるべき」としている(Public Health England)。
理由として挙げられているのはやはり、「有害事象が生じた場合に、それがどのワクチンによるか判断が困難になる可能性」だ。また、安全性についての懸念はないが、有効性に関しては「経験的に、かすかに免疫反応が弱まるように見える」との言及もある。
WHO(世界保健機関)も今年1月、「他のワクチンとの同時接種のデータが得られるまでは、少なくとも14日間空けるべき」との指針を示している(同時接種を認めずにおきながら、どこからのデータを期待しているのかは疑問だが……)。
日本は米英追従するも判断回避?
さて、わが国ではどうだろう。
新型コロナワクチンと他のワクチンとの接種間隔については、今年2月15日に開催された第19回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」で、論点として挙げられた。ファイザー製ワクチンが特例承認された翌日のことだ。
結論としては、「海外の例を参考として、同時接種は行わず、接種間隔は13日以上の間隔をおくこととしてはどうか」と提案されている。
分科会の資料では、その理由として
・これまで予防接種に用いられている生ワクチンや不活化ワクチンではない、実使用実績のないワクチンである
・異なるワクチン間との干渉や安全性に関する情報が不足している
ことが挙げられている。ただ、結論は「海外」すなわち米英の見解に倣っただけにすぎない印象だ。
その後、5月21日開催の第21回分科会でも、モデルナ製ワクチンについて同じく13日以上の間隔をおく考えが示された。時系列から言えばこれはCDCの方針転換後だ。だが残念ながら、このときの資料は適切にアップデートされていなかったと見られ、アメリカも同時接種を認めていないことを前提とした議論に終始している。
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