新型コロナと他ワクチン「同時接種」が必然なワケ 「予防接種控え」は社会の脅威となりかねない

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だが、徐々にでも新型コロナワクチン接種が進み、人流が回復してくれば、インフルエンザの患者もまた増え始める。あるいは、経済社会の正常化にあたりインフルエンザに足を引っ張られないためにも、インフルエンザの予防接種を並行して進めることが大事だ。

その際、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンを別の機会にしか接種できなければ、現場は到底手が回らない。

「新型コロナワクチン優先」となれば、困るのは両方の接種を希望する市民の方々だ。インフルの予防接種には適切な時期があり、後回しにしてよいものではない。

新型コロナの流行下で「予防接種控え」が顕著

同時接種を推す2つ目の理由は、「接種控え」を取り戻す、あるいはこれを機に必要なワクチンの接種を後押しするためだ。

新型コロナの流行以降、「この時期に病気でもないのに医療機関に行くのはどうか」という理由から、「予防接種控え」が顕著だと実感している。だが、経済社会のスムーズな再開に必要なのは、新型コロナやインフルエンザの予防接種だけではない。

乳幼児や高齢者に限らず、65歳以下の成人に推奨される予防接種はいくらでもある。

例えば日本では女子中高生のみ定期接種の対象となっているHPVワクチンだが、それを逃した世代でもキャッチアップ接種の必要性が指摘されている。スウェーデンの研究では、17~30歳で接種を受けた女性でも、子宮頸がんの発症を53%減少させる効果が報告されている(The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE)。

また、体に激痛を伴う発疹が生じる帯状疱疹は、50歳以上で罹患率が急に高まることがわかっており(2017年国立感染症研究所「帯状疱疹ワクチンファクトシート」による)、ワクチンによる予防が有効だ。

かつては乳幼児期にかかって免疫を獲得し、維持されていた麻疹や風疹も、ワクチンの普及によってウイルスにさらされる機会が減ったことで、抗体価の低い大人が少なくない。そのため今も数年おきに流行を繰り返している。かかるとひどい目にあうので、ぜひ予防接種をお勧めしたい。

一方で、働き盛り世代にとって、予防接種だけのために仕事を休むのは容易ではない。

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