一方、欧米は違う。主要先進7カ国(G7)で最も少ないカナダでも人口100万人当たり255人。もっとも多いイギリスは同881人。アジアが「ファクターX」で守られていたことがおわかりいただけるだろう。
問題は、日本をコロナ流行から守ってきた「ファクターX」がデルタ株に対して、効かない可能性が高いことだ。インドでは、今年3~5月の間の1日の感染者数の最高値は、人口100万人当たり284人。これは今冬のドイツの感染者ピーク数(同307人)と同レベルだ。アジアでも欧米並みの感染爆発が起こったことになる。同じような感染爆発が、マレーシアなどインド以外のアジア諸国でも起こっている。日本で大流行を起こしてもおかしくない。
日本の課題は、7月23日に東京五輪が開幕することだ。選手と関係者を含め約9万人が来日し、国内での人の動きも増加する。実は、この時期は、東京五輪がなくても、感染が拡大する可能性が高い。それは、コロナの流行には季節性変動があるからだ。
そもそも風邪コロナは毎年冬と初夏に流行
そもそもコロナは風邪ウイルスだ。その流行は季節の変化と密接に関連する。今回のパンデミック以前から存在する風邪コロナの場合、日本では毎年冬と初夏に流行を繰り返してきた。
新型コロナの場合、昨年、日本では春・夏・冬の3回にわたって流行した。興味深いのは、今春、感染が拡大したのは3月中旬で、昨春の感染拡大時期とぴったり重なることだ。
実は、2020年、2021年の感染拡大の時期が一致するのは、日本だけの現象ではなく、隣国の韓国も同様だ(図参照)。
(外部配信先では図を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
韓国と日本の流行状況は感染者数のピークの値こそ違えども、流行が始まり、ピークを迎え、そして収束する時期は驚くほど似ている。専門家は、感染者数の増加を「気の緩みによるリバウンド」と言い続けてきたが、私は、そのような主張には賛同できない。むしろ、季節性の変動を反映している可能性が高い。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら